「今回ちょっと、力が入っているんじゃないですか」(三谷)
三谷 僕がこういうことをやって欲しいとお願いした時に、「それはどういうことですか」「なぜそれをやらなきゃいけないんですか」みたいなことは、香取さんには一切ないんです。僕が現場でセリフを足したり、削ったりすることもあるんですけども、僕が思っていることと同じことを彼は前から思っていたんじゃないかというくらい、理解が速い。「このページのこのセリフなんですけど」「わかりました」みたいなやりとりができるので、僕はとてもやりやすい。
香取 わかっちゃいますね。ほとんど台本読んでないですけど。
三谷 でも今回ちょっと、力が入っているんじゃないですか。だってリハーサルでもう、(黄色のつなぎを指さして)これ着ているし……。
香取 毎回入ったら渡されるんで。
三谷 びっくりしました。みんな私服でやっているのに、1人だけ衣装付けてメイクもして、この人やる気になっているんだなと。
香取 なんで俺だけ着ているんだろうと、いつも思っているんですけど。
三谷 『HR』 の時は、リハーサルの日はもう最初全くセリフ覚えていないし、やる気ない感じで入ってきて、みんなを心配させて。みんなが帰った後に1人残ってやってたじゃないですか。今回は、リハーサルの頭から半分セリフ入っているし……。
香取 入ってないですよ。
三谷 やる気になっていることが恥ずかしい? 恥ずかしくないよ、全然。昔、僕が知っている香取さんは、とにかく車の中で寝ていて、スタッフが起こしに行くみたいな。今回は誰よりも早く来て、動きとか確認しているじゃないですか。
香取 本当のこと言うと、入り時間とかちょっとおかしいなと思ってたんですよ。
三谷 「今回はやる気になっているんです」って言えない。
香取 やる気ない感じなのに、それなのにできちゃう感じでやってきたんですよ。
三谷 そっちのほうが格好いいっちゃ格好いい。やる気見せてくれてもね。じゃ、やる気がないということで。