昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載サウナ人生、波乱万蒸。

創業49年の老舗・グリーンサウナが閉館 “米国帰りの湘南ボーイ”が最高のサウナを作るまで

グリーンカードをあきらめてグリーンサウナを手に入れた男の話

2020/04/29

2020年4月28日、ついに閉館

 その後、SNSというツールの出現、第3次サウナブームにより来客数は増加し、経営は再び軌道に乗ったかと思われた。その矢先、加川は閉館を決意する。

「ここ数年は閉館すべきかの逡巡と老朽化との戦いでした。2階の天井からは水が漏れ、年末のかき入れ時にボイラーが故障でお湯が出なかったり……。『明日はどこが壊れるんだろう』と、毎日生きた心地がしなかったんです。また、廃業か存続かの経営方針を巡って、会長である父との意見の対立もありました」

 サウナを愛するからこそ苦しみ、悩んだ日々。そして、2020年4月28日。終業を迎えたその日まで、加川は毎日お客様に感謝しながら今までと変わらない営業を毎日行った。

グリーンサウナは天然温泉も最高の泉質。右にあるのは、総檜造りの名物・太古の湯。およそ2400万年前の地層から湧き出ているという(男性用のみ)

「建物は古いんだけれども、うちは独自のところでサービスをやっているんだよということを日々少しずつ積み上げてきたんですね。ありがたいことにサウナブームで評価されていますけど、それはグリーンサウナを愛してくれたお客様と従業員があってのものだと思っています」

 閉館を決意した時、背中を押してくれたのは、毎日寄せられる終業を惜しむ声だったという。

「正直もうサウナは廃業しなきゃいけないのかな、と思ったこともあります。でも、これだけお客様から支持してもらっているサウナを残す手はないものかと必死に考え続け、会長とも話し、売却しても再開する可能性がようやく見えてきました。だからこそ閉館の決意ができたんです。固定概念にとらわれない新しいサウナの構想は考えています。越えなければいけないハードルは多々ありますが、できれば平塚で。

 お客様にはグリーンサウナを愛していただき本当に感謝しています。しばらくお時間をいただきますけれども、必ず戻ってまいりますので。それまで待っていていただけたらと思っています」

 惜しまれつつ4月28日に閉館した湘南ひらつか太古の湯  by グリーンサウナ。最高のととのいを僕たちは永遠に忘れない。

 

 悲しいけれど、ファンへの朗報が。城門ラーメンでおなじみ、グリーンサウナの食堂「レストラングリーンウェーブ」が、定番メニューをそのまままにこの夏、独立オープン予定だというのだ。加川社長曰く、「アッと驚くネーミングを考えている」そう。

 オープン予定の夏までには新型コロナウイルスによる混乱が落ち着いていることを祈りつつ、是非食堂へ足を運び、城門ラーメンで一杯やりながら、在りし日のグリーンサウナの思い出話に花を咲かせてはどうだろうか。  

70年代に湘南で一世を風靡した幻のラーメン「城門ラーメン」の復刻版。一杯一杯、シェフの手作りで提供される、熱々の逸品。まさに“食べるサウナ”

写真=五箇公貴

INFORMATION

湘南ひらつか天然温泉 太古の湯 by グリーンサウナ

住所 神奈川県平塚市錦町1-18

2020年4月28日 閉館

http://www.green-sauna.com/index.php

この記事の写真(17枚)

+全表示

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー