伊藤 めちゃめちゃ集中して見てもらえていたら、まだわからなかったかもしれないですね。でも今年は単に技量が足りてなかったんだと思います。
畠中 予選って、お笑い好きな人ばかりなので、ものすごい前のめりで聞いてくれる。ちょっと粗っぽくても笑ってくれるんです。もしかしたら、そこが予選と決勝の違いだったのかもしれません。決勝のお客さんは、そこまでは丁寧に想像はしてくれないという。
――得点発表では、中川家の礼二さんが「94」と高得点でした。かまいたちと同評価です。
畠中 関東の漫才師なので、塙さんと志らく師匠は高めにつけてくれるかもみたいな期待をしてたんです。でも、礼二さんと上沼さん(94点)がめちゃくちゃ高くて。意外でしたけど、素直に嬉しかったですね。
「あの大会で、いちばん滑りました」去り際のボケ……
――去り際に見せた伊藤さんの「細稲垣」のボケは、ある意味、インパクト大でした。
伊藤 今のM-1はあそこの平場も込みになっている気がするんです。昔はあそこでボケたりする芸人、ほとんどいなかったですもんね。それにしても、大失敗しましたね……。身の毛もよだつような体験でした。
畠中 あの大会で、いちばん滑りました。
――上沼さんにこう言われたらああ言おうみたいな、みなさん事前にだいぶ準備されているようですね。
伊藤 でも何かを用意していったら大変なことになりますね。2度としません。
畠中 仕込んだらダメですね。やっぱり生ものなんで。
――得点が発表されている間も「細稲垣」を繰り出すタイミングをずっと見計らっていたんですね。
伊藤 どこでやるかで頭がいっぱいで、怖かった……。事前にニューヨークの屋敷さんに相談してたんです。こんなのやったらどうですかと。そうしたら、絶対ウケるからやってこい、と。でも楽屋に戻ったら「おまえら東京吉本の恥や」と吐き捨てられました。
――すごい手のひら返し(笑)。
伊藤 驚きました。「細稲垣」を見た人全員にお願いしたいことがあります。あのシーンは、記憶から消し去ってください。まじで。
(【続き】“吉本っぽくない”オズワルドが影響された漫才師「死ぬほど見たのはおぎやはぎさんと……」 を読む)
写真=山元茂樹
オズワルド/畠中悠(ボケ担当)と伊藤俊介(ツッコミ担当)のコンビ。畠中は1987年12月7日北海道出身。伊藤は1989年8月8日千葉県出身。東京NSC17期の同期で2014年11月に結成。
M-1では15年、17年、18年に3回戦進出。19年に初の決勝進出で7位に。