史上最高と言われる2019年のM-1。なぜあれほどの“神回”になったのか。出場した漫才師の連続インタビューでその答えに迫っていく。

 関西弁バリバリのミルクボーイの直後、“しっとり”とした漫才でM-1の空気を変えたオズワルド。東京のコンビらしいネタを見せた2人が影響された漫才師とは?(全3回の3回目/#1#2へ)

オズワルドの畠中悠(左、ボケ担当)と伊藤俊介(ツッコミ担当)

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2人は吉本っぽくないですよね?

――2人は吉本っぽくないですよね。東京NSCの方も、東京とはいえ、吉本っぽさがあるものですが。

伊藤 めちゃめちゃ言われますね。僕らは吉本以外のライブにもがんがん出ているので、吉本と他事務所の方と、両方に育ててもらった感じがあります。吉本はスピード感のある掛け合い漫才の本場。でも関西弁じゃない僕らが同じことをやっても勝てないと思うんです。

畠中 いいバランスで、いいとこ取りをしている気がします。吉本の人は、漫才の構成とかはすごくうまいんです。一方、他事務所の芸人は、そんなことは気にせず、おもしろいことを詰め込んだだけみたいなところがある。それはそれで魅力的なんですよ。

伊藤 ただ、吉本はこういう賞レースになったら、やっぱり強いと思います。舞台を踏める数がぜんぜん違うので。吉本の芸人は他のライブにも出られますけど、吉本以外の芸人が吉本のライブに出ることは難しいじゃないですか。なので、他事務所の人は、ぺこぱさんみたいな飛び道具的なものを持ってる人が上がってくる。

 

ぺこぱは最後、和牛を抜くと思いましたか?

――ぺこぱさんのネタはどうでしたか? 同じように関東色の強いコンビですが。

伊藤 ぺこぱさんがもっとも輝く順番になった、ということは言えると思います。残り3組になったとき、僕らもインディアンスさんの後がいちばんいいと思ったんです。インディアンスさんはちょっときつめの関西弁で、タイプ的に真逆なので。

畠中 でもまあ大会全体を考えたら、これがベストの順番ですよね。僕ら、インディアンス、ぺこぱで、ラストのぺこぱさんが和牛さんを逆転して3位に食い込むという。