松陰寺 うん、悩みますね。出ても、今回よりも出来が悪かったら、マイナスなイメージもついちゃいますしね。いずれにせよ、出場するなら優勝するぐらいのネタを引っさげて行かないと。
「カミナリは、もっと評価されてもいいと思うんですけどね」
――決勝に2度出場しているカミナリも1年休んで、今回また出場して準決勝で涙をのみました。個人的にはすごくおもしろいんですけど、初めてファイナルに出場して、そこでブレイクしてからは、なかなか点数が出ないですもんね。
松陰寺 そうなんですよ。僕はカミナリは、もっと評価されてもいいと思うんですけどね。ただ、カミナリと違って、僕らは変化球ですから。変化球を2年連続でやると、変化球じゃなくなっちゃいますから。そこはデメリットですね。
――でも今回の決勝で1本目も2本目もあれだけウケたということは、そんな小手先のものではなく、ひとつの「型」といっていいもののようにも感じました。なので、中味が新しければ、十分通用するのではないですか。
松陰寺 審査員の方がどう見るかでしょうね……。去年と一緒やなあって思うか、この型でまたおもしろいネタをつくってきたなとなるのか。
やっぱり出られるんなら……
――一昨年、決勝に初出場したトム・ブラウンは、予選であれだけウケたのに今回は準決勝で落ちましたもんね。
松陰寺 そうなんです。僕はトム・ブラウンとはすごく仲がいいので、ネタもよくみているからわかるんですけど、前年とは全然違うし、違う笑いの取り方もしている。彼らなりに進化はしているんです。でも、そこは評価されなかった。審査員は前年と一緒だねって思っちゃったのかもしれない。そこはすごく残念でしたね。
――シュウペイさんはどう考えているんですか、今後のことは。
シュウペイ M-1は出られるんだったら、出たいですけど。あの決勝の舞台は、やっぱり決勝に行った人しかわからないものがありましたから。特別なところ。すごく楽しめましたし。
松陰寺 もう売れてるのに何回も出場している人っているじゃないですか。これまではそういう人を見ていて、もう売れてるんだからいいじゃん、僕らの枠を取らないでよって思ってたんです。でも今回、初めて決勝にいって、その気持ちはわかりましたね。漫才をやっている以上、やっぱり出られるんなら出たい。M-1は永遠の夢舞台です。
写真=山元茂樹/文藝春秋
ぺこぱ/松陰寺太勇(ツッコミ担当)とシュウペイ(ボケ担当)のコンビ。松陰寺は1983年11月9日山口県出身。シュウペイは1987年7月16日神奈川県出身。アルバイト先の渋谷の居酒屋で出会い、2008年に結成。
2019年『ぐるナイ』の「おもしろ荘」で優勝。M-1では10年、16年3回戦、18年に準々決勝進出。19年に初の決勝進出で3位に。