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特集観る将棋、読む将棋

2020/07/17

――カメラを増やすと、コストも手間もかかるのですよね。

谷井 もちろんそうなのですが、表情がよく見えたとか、こんなアングルは初めてで良かった等、評判は上々で、今までにない映像を届けられたことでコストに十分見合うだけの効果はあったと思います。

生中継にはしっかりと準備を

――ABEMAには解説なしの中継もありますね。

谷井 将棋盤にフォーカスした解説なしの将棋情報LIVEという中継スタイルです。この中継方法は2018年から始めました。対局室の音を拾うので、棋士のつぶやきや息遣いも聞こえると評判です。

――生中継ではABEMAスタッフとして藤崎智さん、田嶋尉さんがよく画面に登場し、視聴者にもおなじみです。このお二人の役割を教えてください。

塚本 藤崎は弊社社員で、生中継の技術面の責任者です。タイトル戦などを旅館などから中継するには、使えるインターネット回線があるかの確認から始めます。回線工事をNTTに依頼することもたびたびあり、地方の旅館の回線がABEMA中継で強化されています(笑)。このような準備をすることから藤崎の指示で進めています。最近では、候補手を表示する将棋AIを使ったシステム作りも担当しています。田嶋さんは、よくお願いしている番組制作会社「マジックボックス」の方で、元奨励会三段の将棋専門のディレクター。バリエーションのある映像を見せてくれますし、インタビューも得意です。

 

――旅館での生中継は準備が大事なのですね。いつごろ会場入りするのですか?

谷井 1~2週間前に技術スタッフが一度現地を訪ね、配線やカメラの設置場所などを考えます。天井にカメラを付けられないなら、やぐらを作ったりしないといけません。対局前日の朝からカメラを設置、映像が撮れているかのテストなどを検分までに終わらせます。現地に行くのは技術スタッフ含めて2~3人くらいです。

塚本 その映像をスタジオ(シャトーアメーバ)で受け取って、必要なテロップをつけたり編集して配信します。こちらのほうが人数が必要ですね。

――中継での失敗談があれば教えてください。

谷井 とある対局で、先手勝ちだと思ってスタジオにテロップなどの指示を出しました。しかし、最後に逆転して後手勝ちとなって慌ててテロップや番組仕切りをやり直しました。将棋は最後まで分からないので早計な判断は慎もうと思いました。

――ABEMAは無料視聴であっても、アクセス殺到でつながらなくなることがありません。どれくらいのアクセスに耐えられるのでしょうか。

塚本 チャンネル別ではなくABEMA全体で安定視聴できるように努力しています。乃木坂46の大型特番などアクセスが集中する番組もそうですし、将棋チャンネルでアクセスが増えてもサーバーダウンがないように強化していっております。

 

写真=杉山秀樹/文藝春秋

【続き】「棋士は遅い時間になればなるほどテンションが上がる」AbemaTVトーナメントの舞台裏を読む

塚本泰隆(つかもと・やすたか) 33歳。麻雀プロ資格を過去に持ち、麻雀チャンネル、将棋チャンネルのプロデューサーを務める。4年前に転職してサイバーエージェントに入社。将棋チャンネルの立ち上げ、麻雀のナショナルプロリーグMリーグ立ち上げの他、ABEMA寄席など特別番組にも多く関わっている。AbemaTVトーナメントは第1回から担当している。

谷井靖史(たにい・やすし) 38歳。2007年サイバーエージェントに新卒入社し14年目。Webエンジニア、携帯ゲーム事業のプロデューサー、マネージャーを務めた後、将棋チャンネルに異動して3年目。主に生放送、編成を仕切る。6歳の頃から将棋が好きで、棋力はアマ初段。三間飛車党。

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