独立した手越さんのこれから
これまで手越さんは、ジャニー喜多川さんをはじめとした、さまざまな方に支えられてアイドル活動をしてきました。手越さん自身も、書籍で「ジャニー喜多川さんから手塩にかけて育てられた『ジャニーズチルドレン』の僕」と語っています。女性スキャンダルが報じられた際も、事務所に所属しているうちは、仕事に深刻な影響が及ぶことはありませんでした。
そのような状態から卒業し、自力で生きていくという決意表明が今回の書籍出版でしたが、それで明らかになったのは、手越さんが身を置く不安定な状況です。彼の奔放なキャラクターはジャニーズという大樹に支えられていたからこそバランスが取れていたのだということが、浮き彫りになってしまったように思います。彼の行く末に不安を感じているファンも、少なくはなさそうです。
手越さんはアイドルとしてとても魅力的です。ぶれない自信、負けん気の強さ、人を魅了してやまない、屈託無い笑顔——。ですがいまの彼は「100万回生きたねこ」(講談社)の“ねこ”にも重なります。立派で美しい“ねこ”は“死ぬ”のも平気ですし、誰のものでもない野良猫になったことを喜びました。メンタルが強いから誹謗中傷もへっちゃら、唯我独尊で意気揚々としている手越さんとこの“ねこ”は、よく似てはいないでしょうか。
しかしジャニーズ事務所を辞めたいまは、その強さがファンにとっては心配でもあります。自分より尊び大切にしたい存在に出会えたとき、“ねこ”は本当の生を得ます。これから手越さんは誰と出会い、どんな生を生きるのでしょうか。
「AVALANCHE~雪崩~」は、手越さんのファンだけでなく、多くのジャニーズファンの心にもさざ波を立てました。手越さんには雪崩でなく、大雪山のように高く素直に自分のことだけしたためた一冊を、ぜひとも書いてほしいと思います。