もしくは存分な時を経て初めて、「そういえば……」と微笑みながらささやかなエピソードを語るくらいが本当はよかった。ファンにとっては、ジャニーズ時代の思い出を独立のために利用されたように感じてしまったのが、とても悲しいことでした。
突貫工事の雑な作りと配慮不足
「AVALANCHE~雪崩~」を取り巻く不安はそれだけではありません。ジャニーズ事務所という大樹を離れた手越さんの周りにいる人たちが、あまりに頼りないことが見て取れたのです。質問箱には、出版関係者と思われるファンの方からこんな投稿もありました。
《手越さんの本について、あまりにも雑な作りだという点を皆さんに知ってほしいと思いました。少し出版の仕事をしていた人であれば、あんな短期間に本を出版するのは無茶なこと。本を読むと「校閲したのか?」「構成をチェックしたのか?」と疑う箇所がチラホラ。たとえば“カタールのドバイ”と書かれているところがありますが、ドバイは違う国にあります。彼が話したことに賛否があるようですが、私としては、書籍としてとても雑な作りで、そこからしてがっかりしました》
《本を読んで、手越くんのまわりには彼を守ってくれる人がいないと感じました。ジャニーズの世界では事前にマネジャーのチェックがあったでしょうし、ライターさんもタレントに傷がつくような内容はカットするなど、配慮していたでしょう。しかし今回の本は、本当に何もかも垂れ流し。何のフィルターも通っておらず、また手越くん自身も事前校閲の術を知らないのだなと感じました。いろいろと残念な本です》
この2通の投稿で指摘されているように、本書を読むと、「著者を守るための工程がスカッと抜けているのではないか?」と訝しく思う部分がたくさんあります。
本書が発売されたのは手越さんの退所日(6月19日)から数えてたったの1カ月半後。通常、書籍の企画から発売までは数カ月以上かかるので、多少の事前準備はあったにせよ、かなりの突貫工事だったのではないでしょうか。そもそも休業している岩橋さんや、松島さんへの触れ方や、過去の恋愛スキャンダルについても、十分に検討を重ねたうえで書かれたのか? と疑問を感じます。
手越さんの今後の売り方やファンの気持ち、芸能界での立場などをきちんと把握しているマネジャーないしは事務所がついていれば、もっと丁寧に目配りされた良質な本に仕上げることも可能だったはずです。