NiziUはK-POPの最終形
しかし、NiziUが世界的なアイドルに飛躍するためには、K-POPの本場である韓国の音楽シーンを攻略することが不可欠。NiziUが韓国で活躍するためには、どんな戦略が必要なのか。
前出のファン氏は、様々なコンテンツを開発して積極的に発信すべきだとアドバイスする。
「韓国のオーディションはセミプロの事務所所属の練習生らが参加しますが、『Nizi Project』には純粋なアマチュアの参加者が集まりました。日本のNiziUファンは、その純粋さや明るさで夢を追いかける“アマチュアの成長物語”に感情移入しましたが、韓国ではその効果は期待できません。それゆえ韓国では、さらに積極的なコンテンツ開発が必要です。既にJYPが取り組んでいる日韓の字幕付きのSNSなどに加えて、波及力を考えたらメジャーメディアの活用も必要不可欠。そのときに最も大事なことは、韓国ファンの機嫌を取るような『みんなに愛される戦略』ではなく、堂々と自分らしさを見せる『確実なファンを作る戦略』を取ることです」
最後に、チョン・ミンジェ氏は、NiziUの成功にかける日韓両国の期待について、次のように語る。
「NiziUの音楽性や資質は既存のアイドルグループに比べて決して劣らない。しかし、韓国マーケットで成功するためには、まず韓国語が上手でなければならない。韓国では音楽番組に出演しただけでは成功できない。K-POPの主なファン層である若者が好むバラエティー番組に出演して人間的な魅力をアピールし、話題を作ることが重要だからです。
その結果、NiziUが日本で認められた後、韓国に“逆輸入”されて成功すれば、日本としては自国出身アーティストが世界的に認められるという点で喜ばしい。さらに韓国としては、パク・ジニョン氏やイ・スマン氏らが10年前から計画してきた『K-POPの3段階戦略』の最終形にあたる“韓国人のいないK-POP”の成功という快挙として受け入れられる。NiziUをめぐる『J-POPか、K-POPか』といったアイデンティティ論争は不毛です。世界中で認められているK-POPの本質は、国籍や言語ではないのです」
筆者もK-POPを愛する一人のファンとして、日本人のみで構成されたNiziUが、K-POPの「希望の星」として浮上してくる日に期待したい。