モテる骨盤

 骨盤の〈ちぢむゆるむ〉のストロークの大きい人は恋愛に強い。男女の比較で言えば、女性のほうがストロークも大きく恋愛力も強力です。男は「骨盤力」ではモテないので、モテるために目立つことをしたり、社会的地位を得たり、金を稼いだり、間接的なことでがんばります。

 近年「モテ期」という言葉もよく聞きます。こういう時期(波)は確かにあって、骨盤のちぢむ勢いが強いときがモテやすい。骨盤の状態でいうと、骨盤の「底ちぢみ」の場合も、うまく全体が締まっている「上ちぢみ」の場合も、いずれもテンションが高い状態で、人を惹きつけやすいです。

 骨盤全体がちぢんでいるときは「いい集中」状態なので問題ありませんが、「底ちぢみ」が強すぎる場合は、人を惹きつける力もあるけれど、衝突もしやすい。人からの評価をはじめ、何かを欲しいと思ったり、興奮したいという気持ちも強くなります。

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骨盤がメンタルに影響を与える可能性も

 過度に「底ちぢみ」していると骨盤の上のほうがちぢまないので、興奮のピークを過ぎた際に虚脱したり、落ち込んだりする。孤独感も感じやすいと言えます。また、人と適度な距離を保つことが難しくなるので、恋愛に限らず、人間関係も濃くなってトラブルを起こしやすい。次々に相手を代えたくなる「恋愛依存」になる場合もあります。つねに過剰な盛り上がりを求めて、落ち着けません。興奮にまかせて行動しないようにしたい状態です。

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「骨盤の波」はひと月(生理)、1年(四季)という定常リズムだけではありません。数年から10年の長いスパンでも、骨盤はゆるんだりちぢんだりを繰り返しながら、盛り上がり―盛り下がりの「波」をつくり出しています。テンションが高い時期が長く続く場合は、その中に細かな波があり、細かな波の中の振り幅そのものも大きくなります。

 わけもなく忙しくなったり、人づきあいが密になったりするときは、波が強く大きくなっている。波が穏やかで骨盤がゆるんでいるときは、外部からのコンタクトも、自分からコンタクトしたい気分も薄くなりますが、何事も起こらず平穏です。

 人との間の「壁」や緊張感も薄くなって、人と幅広くつきあいやすくなるということでもあります。いずれにしろ、骨盤から生まれる波に振り回されず、うまく乗ることが、気分良く生きるためのコツだと思います。

女と骨盤

洋次郎, 片山

文藝春秋

2017年9月8日 発売