サークル活動再開の許可、学生王将戦も実施へ
10月ごろ、部室は使えないものの、大学からは感染に気を付ければ対面でのサークル活動を再開しても良いと許可が出た。週1で貸してもらっていた将棋研究用のマンションで活動を再開。上限を8人にして集まって対局を始めた。
「借りられる日ごとに、参加希望者を募って調整しました。基本的に1年生を優先して対局できるようにしました」(天野倉さん)
同じ頃、今年も王座戦、学生王将戦が実施されると決まった。四日市市の会場は確保できていたが、問題は関東代表を決める大会だ。これまで300人規模の個人戦、団体戦はどこかの大学の施設を借りて実施していたけれど、コロナ禍で授業の多くがオンラインなのに、大人数の将棋大会のために貸してくれる大学が見つかるわけがない。
大学生の大会は学生の自主運営だ。会場探しも運営も各大学から集まった理事の学生の手で行う。関東大学将棋連盟は、コロナ禍であっても将棋大会を自社会議室で開催していた株式会社トリプルアイズに会場の提供を打診した。感染防止用の透明仕切りや、対局用の大会議室に加えて控室も貸してくれることになって大会の実施が決まった。
長く大会がなかった影響が
規模は縮小せざるを得ない。学生王将戦の関東代表4人を決める個人戦は、途中まではネット対局。ベスト64からトリプルアイズ社での対局。王座戦の代表を決める団体戦は、リーグ戦は断念し1日で終わる「関東A級王座戦選抜」として、A級に属する8校のみが参加できるトーナメント戦だ。B1~C2級の大学は参加できず、元通りとは程遠い。持ち時間は短縮され、25分切れ負け。対面でこのルールの練習をしたのはもちろん、将棋倶楽部24の長考(持ち時間30分)を選択して、残り時間が5分になったら負けと決めてのネット練習対局もした。
主将の伊藤さんは「王座戦ができると聞き嬉しかったです。問題は長く大会がなかったのでみんなモチベーションも棋力も下がってしまったこと。まず主将が頑張らないと」。
伊藤さんは、部員に積極的に声をかけてネットで対戦したり、一般の大会に参加して自分の棋力を戻す努力をしつつ、関東王座戦選抜の1か月前から団体戦のオーダーを考え始めた。14人のうち10人は、これまでのレギュラーを中心に大会実績で決め、残り4人は選考のための24で実施したリーグ戦上位で選んだ。
今年は春の団体戦リーグも富士通杯も中止で、これまでの蓄積で得られる情報がない。早稲田にも勝ちたいけれど、昨秋の団体戦の1位、2位は別ブロックと決まったから、当たるとしても決勝だ。準優勝でも王座戦に行けるから、1回戦と準決勝で勝つほうが大事。道を歩いていても、電車に乗っていても、常に伊藤さんの頭にはオーダーがあった。スマホのメモ帳に書き込んで順番を入れ替えたり、紙に書いたオーダー案を何度も消して書き直したり。そうして作った草案を、前主将の藤岡さんと、次期主将の天野倉さんにLINEで見せて、修正意見を聞いた。