1ページ目から読む
5/5ページ目

フィンランドのゲイ向けサウナで……

「プレゼンの場で、社長が『いや、俺サウナ好きじゃないから』って(笑)。そこで即座に『来週空いてませんか? フィンランド行きましょうよ』と社長を誘ったんです。お金もなければフィンランドなんて行ったこともなかったのに(苦笑)。

 当時アウトドアサウナって、日本ではサウナキャンプはありましたけど、常設では体験できる場所がほとんどなかったから、これはもうフィンランドに行った方が早いなというのもあって。次の週には空の上でした(笑)」

 無茶ブリには無謀さで答える。若さとはいえ、野田のサウナにかける初期衝動と行動力は、立ち上る蒸気の様に熱く、澄んだ水風呂のような清々しさすらある。しかし、ただの美談で終わらせないところが、周りから慕われるこの男のチャーミングさである。

ADVERTISEMENT

「行ったはいいんですが、夏のバケーション期間中で行きたい施設が全然やってなくて(笑)。サウナをプレゼンしにきてるのに初日からノーサウナはやばいと、営業してる店をググりまくったら『Sauna Vogue(サウナヴォーグ)』って店が見つかって。なんかムキムキのボディービルダーみたいな人が描かれていたり、入る時にもLGBTQを象徴する虹色の旗が置いてあったり。でもとにかく必死だったんで店員さんに『正直に言う。俺たちはノンケだけどいいか』と交渉したんです。そしたら『私たちはいいよ。あなたたちがいいなら』と言ってくれたんで、社長と二人で入って。中では音楽がガンガンかかったゲイパーティーがノリノリで行われてて。そしたら社長に『お前がやりたいのはこれか?』って言われて。

 あわてて『違うんです! 初日にノーサウナはさすがにまずいから、とにかくサウナに来たかっただけで、この店はあくまで施設だけを参考にします!』と。そしたら社長が『もう一回聞く。お前のプライベートでこれがlife is goodならいいけど、これが仕事として本当にやりたい事なら、会社としては結構超えなきゃいけない壁が多い』って。『いや違うんです、本当に!』とかプレゼンしてるうちに、周りのゲイの人たちとも仲良くなるんですが。で、楽しくなってたらチューとかされて、そのまま連れていかれそうになって……」