少年マンガらしいバトルシーンも盛り込まれているが、こちらも「傷が消えない」描写が目立つ。レゴシは、様々な面々と戦うなかで成長していくが、同時に体には傷が刻まれていく。
ライバルであり相棒でもあるアカシカのルイも、多くの試練を乗り越え、心身に変化が生じていく。このリアリティも、多くの読者から支持されている理由のひとつだろう。
最終22巻が1月に発売されたばかりだが、深い余韻を残す大団円を迎えており、我々の「世界に対する見方」を変えてくれる傑作といえる。
5.『【推しの子】』
圧倒的なリアルで描く芸能界の闇
最後は、青年誌である週刊ヤングジャンプで連載(コミック配信サイト「少年ジャンプ+」でも配信)中の『【推しの子】』をご紹介したい。
『かぐや様は告らせたい』の赤坂アカ氏×『クズの本懐』の横槍メンゴ氏という人気漫画家がコラボレーションした話題作で、赤坂氏が原作を、横槍氏が作画を担当している。
この作品は、推しアイドルの息子として転生した医者が、芸能界を駆け上がっていくというもの。ここまでは完全なるファンタジーだが、そこから先の展開は衝撃的だ。
人気アイドル・星野アイの双子の子どもとして転生したアクアとルビー。アクアは、ある事件の真相をつかむため、ルビーは母のようなアイドルになるため、それぞれ芸能界入り。華やかな世界の“裏側”を目にすることになる。
現実とのリンクに震えるエピソードばかり
『【推しの子】』は、入り口こそ虚構性が強いものの、その先は恐ろしいほどにリアル志向。
若手役者を集めたドラマが「出演者の顔見世」的な内容になって原作者が傷ついたり、原作ファンが荒れたりといったものから、恋愛リアリティショーの出演者が、SNSで袋叩きにあい、精神が崩壊していく姿など、現実に起こった問題とリンクした“リアルタイム性”あふれる内容を、果敢に描いていく。
その攻めた内容から、最新話が発表されるとTwitterのトレンド入りを果たすなど、いま大いに注目を浴びている。