昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/02/25

ポイント5.不倫相手に貢いでいたか

 夫に不倫された時の妻の怒りで見落とされがちなのが、「私や家族に使われるはずだったお金を別の女性に使った」というポイントです。夫が不倫相手にのめりこみ、高価なプレゼントやホテルのスイートルームを予約するなどして“貢いで”いた場合、妻の心証は劇的に悪くなります。

写真はイメージです ©iStock.com

 しかしA子さんの夫の場合、クレジットカードの明細や口座の情報を揃えて検証しても、夫が不倫相手のためにプレゼントを買ったり食事を奢ったりという痕跡は出てきませんでした。宿泊費などは会社の経費にしているものもありそれはそれで問題でしたが、A子さんとしては「家庭のお金を使われた」という気持ちにはならなかったと言います。こんな場面でも、お金の恨みは恐ろしいのです。

ポイント6.不倫トラブルの経験者が周囲にいるか

 不倫が離婚につながるかどうかの最後の“分かれ道”は、経験値です。もしA子さんの周りに不倫トラブルの経験者がいなければ、訪れた修羅場を乗り切るイメージが描けずに離婚を選ぶ確率が高まります。しかし、A子さん夫婦は、夫の知り合いの会社経営者との交友関係もあり、他の経営者の妻が、不倫トラブルを笑い話として会話のネタにするのを何度も耳にしていました。

 だからこそA子さんは夫の不倫を知っても取り乱さず「夫が不倫相手と駆け落ちするような事態はそうそう起こらない、立場のある男性は火遊びはしても離婚にまで踏み切ることはない」と判断したようです。

写真はイメージです ©iStock.com

 さらに実際問題として、月30万円の住宅ローンを払いながら都内の高級住宅街に住めるのも、長男が月に20万円するインターナショナルスクールの幼稚園に通えるのも、経営者である夫の存在があってこそという経済的な事情も判断に影響を与えました。

 A子さんは出産を機に仕事を離れており、離婚で賠償金を支払わせたとしてもその後の収入の見通しは立ちません。それが、A子さんの喉まで出かかった離婚の「り」の文字を飲み込ませたのです。