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筆者はA子さん夫婦以外にも、不倫トラブルが離婚につながらなかったケースを数多くを見てきました。その中で痛感したのは、関係を修復できるかどうかは「いい夫かどうか」とはほとんど関係なく、むしろ不倫に対して罪悪感が薄く、経済的な優位を誇示する“オスらしいオス”の方がむしろ離婚を避けられるという意外な因果関係です。お笑い芸人や役者の妻が、夫の不倫を事実上見て見ぬふりをする姿も記憶にあるのではないでしょうか。
不倫よりも致命的なのは「嘘」
ここまで「離婚に至らない夫婦の特徴」を書き連ねてきましたが、それとは逆に「離婚の危険性が高い夫婦の特徴」も存在します。それは積み重なった「不信感」です。
A子さんが離婚に踏み切らなかった理由の1つが、夫が開き直って全てを認め、不倫相手にも妻の存在を隠していなかったことでした。
相手が言っていることに腹が立つ状況よりも、相手の発言が全く信じられない状況の方が精神的な負担は大きいものです。問題が起きて解決のために話し合いをしても、「嘘をついているのでは」「隠し事があるのでは」「約束を守ってくれるだろうか」と疑うばかりでは話が進みません。
「嘘」は、不倫そのものよりも、離婚の直接的な原因になりやすいのです。その結果、開き直った態度を取る方がむしろ離婚から遠ざかる、という不思議な現象が起こります。男性にとっても女性にとっても、なんとも納得しがたい結論かもしれませんが、多くの離婚案件を見てきた筆者には、この結論はリアルなものに感じられてしまうのです。