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「パンツはなんでもいい」藤井猛九段と行方尚史九段が、米長道場で切磋琢磨していたころ

「パンツはなんでもいい」藤井猛九段と行方尚史九段が、米長道場で切磋琢磨していたころ

「藤井猛と行方尚史、二人は戦友」番外編 荻窪居酒屋にて

2021/05/05

genre : ライフ, 娯楽, 芸能

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米長道場がなかったら、もっと出世が遅かった

行方 森下さん(卓九段)と小野さん(修一八段・故人)がまとめ役みたいな感じでしたね。中川さん(大輔八段)、丸山さんは常にいる感じだった。あと桐谷さん(広人七段)もよくいらしていて、僕は対局して自信を付けさせてもらいました(笑)。

藤井 俺は最初、丸ちゃんと行ったのかな。その頃だと中川、丸山ラインかも。

行方 藤井さんが常連になったというので、僕も行き始めたと思う。木村君(一基九段)は家が遠かったから来てなかったですね。先崎さん(学九段)は、まずいなかった。

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藤井 見かけたときは庭で焼肉やるときだけだったような気がする。

――どうしていなかったのでしょう?

行方 単純に将棋のお勉強がお好きでなかったのかと(笑)。あと米長先生は「羽生も門下生だ」と言っていましたが、羽生さんが来たのは新年会にゲストで呼ばれたときくらい(笑)。新春10秒将棋大会が行われて、羽生さんが15勝2敗で優勝したけれど、そのうちの1敗は僕がつけたものです。奨励会時代の数少ない自慢で、17歳初段の時でした。今にして思えば、米長道場がなかったら、僕はもっと奨励会の出世が遅かったと思います。

 

藤井 強い棋士と一緒にいるだけで全然違うから。あの場の空気に触れただけでも大きかった。なめちゃんとホープ研でやっているだけじゃ物足りないものがあったよな。

「俺がまったく聴かないような曲ばかり」

藤井 いかんせん、趣味が合わないよね。俺はアイドルの曲しか聞かないから。なめちゃんには、「はあー」って見下される感じだった。

行方 僕は国分寺の藤井邸に行ったときは、必ずレンタルCD借りて、それを藤井邸でカセットテープにダビングして帰るという……。僕はラジカセしか持っていなくて、CDデッキがなかった。

藤井 俺がまったく聴かないような曲ばかりだった。

行方 RCサクセションとかダビングして。

藤井 小説にしても僕は大衆娯楽小説とかしか読まないから、大抵バカにされていた。

行方 当時はそういう話をよくしましたね。思春期だったから。僕が20歳過ぎた頃から、あまりしなくなった。

藤井 うちは狭いから将棋を指したことはほとんどなかったよね。

行方 あまり指した記憶ないなあ。

――藤井九段がお姉さんと住んでいたときですか?

藤井 そうそう。僕の部屋は狭いし、布団が敷いてあるから。二人で将棋盤を出して指すような感じじゃない。

行方 それでも片付いている印象でした。僕の家が凄まじいから。全然整理整頓できないので。

藤井 テレビに出て来るようなゴミ屋敷だったな。

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