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「和やかな雰囲気の中で」と書かれているが……

〈由紀夫が、「甲女が小学2年生のころから、甲女に対し、その乳房や尻を触ったり、裸にして陰部を見たり、性器や肛門に指を入れたりする性的虐待を繰り返していた。自分の子である甲女を性的に虐待していたことを深く反省する。この書面は甲女に対する性的虐待、変態、変質的行為の事実関係を証明するものであり、緒方、甲女立会の下、和やかな雰囲気の中で作成した。このような事実は警察等には秘密にしておいて欲しい。この書面は緒方に預ける。」などと記載している。

 

 末尾には、作成日付(平成7年2月24日)、本籍地、住民票上の住所地、現住所、生年月日が記載され、署名・押印がある。

 

 また、甲女が、「お父さんが書いたないようはみんな本当です。」、「あとからあれはうそとかもいわないで下さい。なぜかとゆうとお父さんは、いつもうそつきだからです。純子おばちゃん甲女を助けてくれて、ありがとう。読んでくれてありがとう。」、「これを、私がもっていると、お父さんから、とりあげられて、すてられるかもしれませんので純子おばちゃんもっておいて下さい。」などと記載して、署名・押印している。

 

 その後に、由紀夫が、「甲女へ 純子おばちゃんが読んだことは本当です。 お父さんより」と記載している。

 

 さらに、緒方が、「確かに見とどけ聞きとどけました。この書をあづかり、もしもの時には警察に検さつ庁にこの書類をもって行きます。まじめに頑張って下さい。」と記載している〉

小学生時代の松永太死刑囚(小学校卒業アルバムより)

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 文面にある「和やかな雰囲気の中で――」のくだりは、事実ではないと推測される。決して無理やり書かせたものではないと、念を押したかった松永による作文だろう。さらにその1カ月後、松永は清美さんに対しても書面を作らせており、その作成の流れについて論告書には次のようにある。

〈平成7年3月20日、松永は前記事実関係証明書に対応するものとして、甲女に命じ、「おとうさんからされたいろいろないやなつらいことのすべて」と題する書面を作成させた。しかし、甲女は、同書面に記載されているような性的いたずらを受けたことは一切なく、この書面に書いてある内容は、すべて松永が甲女に命じて書かせたものだった。そのため、文中には、甲女が当時知らなかった言葉も含まれている(その例として、「クリトリス」や「マザコン」がある。)〉