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—— 印象はいかがでしたか?

小野 彼は整った顔立ちをしているんですね。それこそ私のイメージだと、歌舞伎役者のような感じの表情の人で、色白の男前の人が調子のいい感じでこちらのほうに話しかけてくる、そういう印象なので。彼はこれまでいろんな女性を手籠めにしてきているんですけど、「ああ、女性たちはこういう笑顔とかこういう態度に引っかかったんだな」ということを感じずにはいられなかったです。

—— 「文春オンラインTV」の視聴者から「悪魔のように笑っている松永の写真を見たな」とコメントがきています。

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小野 彼の笑い方って、普通の明るい笑いというよりも、ニヤッとする笑い方なんですよね。だから逆に陰湿さというか、そういう部分が浮かんでくるような笑い方なんだと思います。

小学生時代の松永太死刑囚(小学校卒業アルバムより)

通電、食事制限、排せつ制限……繰り返された虐待

—— 松永死刑囚は、被害者たちを虐待してマインドコントロール下に置いていたそうですが、具体的にどういった虐待を行っていたんですか?

小野 顔を殴るということもやっていましたが、他にも正座をさせて、その上からそのまま踏みつけるとか。それ以外に一番強烈だったのは、“通電”。いわゆる電気コードの電線の先にクリップをつけて、それを相手の体に当てる。それで、その電気コードをコンセントに差し込む。それで通電するというのがやっぱり一番強烈な暴力だったと思います。

写真はイメージ ©iStock.com

—— 小野さんは、松永死刑囚から実際に通電を受けたという方にも取材をされたんですよね?

小野 そうですね。松永がやっていた会社の元社員に取材をして、その時の状況を聞いたんですけど、松永はいろんな方法で体のいろんな場所で試してきたそうです。例えばクリップではなく、露出させた電気コードを手首に巻いて通電したり。その場合は、電気が流れるショックだけじゃなくて、コード自体が熱を持ってやけどをしてしまったりとか。通電は局部でも試されたそうなんですけど、それはもう言葉にならないぐらい衝撃を受けたと話していました。こういうことを繰り返されることによって、相手も「もし自分が反抗したらその罰をまた受けなきゃいけない」という恐怖心が芽生えてきて、逃げられなくなっていったんだと思います。

元従業員の身体には通電の火傷跡が残っていた ©小野一光

—— どんどん追い詰められていってしまうんですね。

小野 そうですね。他にも松永は、食事の制限もしていまして、食事を1日1回にしたり、減らしたりとか。逆に1回の食事で無理やり大量に食べさせるということもやったりするんです。食べきれなくて吐いてしまったものをまた食べさせたりとか。あと、排せつの回数を制限していて、許可を取らなければトイレに行ってはいけないということをやったり。ありとあらゆるかたちで、相手の肉体だけじゃなくて精神的にも痛めつけることを繰り返してきたようです。