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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

監禁、通電、脅迫、遺体解体……「北九州監禁連続殺人事件」主犯の松永太死刑囚が面会で見せた素顔とは

監禁、通電、脅迫、遺体解体……「北九州監禁連続殺人事件」主犯の松永太死刑囚が面会で見せた素顔とは

ノンフィクションライター・小野一光氏を「文春オンラインTV」が直撃!

2021/03/30

genre : ニュース, 社会

note

子どもを人質に……尼崎連続変死事件との共通点

—— 他のマインドコントロールで有名な事件というと、尼崎の連続変死事件などがありますが、共通点はありますか?

尼崎連続変死事件

 兵庫県尼崎市を中心に複数の家族が長期間虐待、監禁され、殺害された連続変死事件。死者・行方不明者は10人以上にのぼる。逮捕者は主犯の角田美代子を含む11人。

小野 尼崎の事件も私は取材しましたが、北九州の監禁と共通する点は、被害者をきちんと選んでいることです。自分に歯向かってくるとか、法律に頼るような相手は選んでいないです。これは尼崎事件のケースなんですけど、ある時、角田美代子から脅されていた人が法律事務所に駆け込んだんです。面倒なことになるのが嫌だからということで、角田側は、それ以上攻めなかったことがあった。警察や法律事務所に駆け込むような人は彼らにとって“面倒な人”になるので、それが一番犯行から逃れることができる術だと思います。

—— どちらも一家を丸ごと巻き込んでいるという印象があるんですけれども、やっぱり家族というのは洗脳しやすい?

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小野 例えば子どもがいる家族だったりすると、子どもを人質に取っておけば、親は逃げられないんです。そのやり方は、松永や角田美代子も同じです。その後、犯罪に加担させて、逃げられなくするという。相手にとっての急所をちゃんとつかんで、相手が逃げられないような状況を生みだしていく。そういう点でいうと、松永と角田美代子のやり方は似てますよね。

死刑は確定したが10年経っても刑は未執行

—— 2011年12月に最高裁で刑が確定され、松永太は死刑、そして緒方純子は無期懲役が確定しました。

北九州市の監禁・連続殺人事件の初公判が開かれた福岡地裁小倉支部の204号法廷(北九州市) ©時事通信社

小野 緒方純子は最初の一審判決は死刑でしたが、控訴審で無期懲役に変わりました。亡くなった人数からすると、永山基準(原則4人以上を殺害した犯人に対し、死刑を選択する判断基準のこと)がありますので、必ず死刑になるケースではあったんですけど、松永による精神的支配の下での犯行であったことが思料されて、無期懲役になりました。

—— 今年で死刑が確定してから10年経ちますが、まだ執行されていません。

小野 執行に関しては本当に分かりません。それこそ明日起きてもおかしくはないですし、これから10年起きなくてもおかしくないと。

—— この事件は、今後も取材されていくのでしょうか? 

小野 やります。新たに、関係する情報や人物というのがいる可能性はあるので、できれば続けていきたい。取材をして、新事実とか、「こんな人が居たんだ」「こんなことがあったんだ」ということが出せていければいいなと。やっぱり稀代の凶悪な犯行だと思いますので。松永のやった犯行はやっぱり許されないと思いますので、その全貌をできるだけ明らかに、そしてつまびらかにしていきたいなというふうに思っています。

 この原稿は、「文春オンラインTV」を要約した内容です。全インタビューは下記のリンクから無料で視聴できます。

文春オンラインTV  #67 監禁、通電、脅迫、遺体解体……「北九州監禁連続殺人事件」完全版ドキュメント 筆者を直撃!

連続殺人犯 (文春文庫)

一光, 小野

文藝春秋

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監禁、通電、脅迫、遺体解体……「北九州監禁連続殺人事件」主犯の松永太死刑囚が面会で見せた素顔とは

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