—— 「文春オンラインTV」の視聴者から「非常に狡猾な性格とはいえ、洗脳する手口だとかは天性のものだろうか」とコメントがきています。
小野 松永に関しては後天的なものではなくて、天性のものだと思わざるを得ないですね。彼の子ども時代からの話を聞いていると、小学校とか中学校の時でも、他の生徒に対しての陰湿ないじめというか、自分より強いものには弱くて弱いものには強いという姿勢はその当時からありましたので。だから、そういう点で松永自身は、そういうものを持っていたんじゃないかなと思わざるを得ない少年時代でした。
手紙には「自分が無実であるということは分かってもらえるはずだ」
—— 松永死刑囚は小野さんにどういったことを望んでいたんですか?
小野 松永自身は、自分自身が陥れられていると思っていまして。確かに直接彼自身が殺害したことはないんですね。だから、そのことに非常に自信を持っていて、「これまでの資料を全部見てくれれば分かるはずだ。自分は何も殺害には関与していない」ということを私に対して訴えかけてくるんです。「先入観を持たずに事件と向き合ってほしい」と、何度も何度も私が会うたびに訴えかけてきていますので。他にも彼から手紙が7通来たんですが、その手紙の内容も、「今は自分自身が公正な裁判を受けてない。だから本当にちゃんとこれまでの資料に目を通してもらえれば、自分が無実であるということは分かってもらえるはずだ」というようなことを言っています。
—— 手紙のやり取りはいつからいつまでされていたんですか?
小野 平成20年の11月から21年の5月までなので、6カ月間ですね。
—— 手紙のやり取りが途絶えたのはなぜでしょうか?
小野 やっぱり私に松永の思うとおりに動いてくれない部分があったんだと思うんですね。それで、「こいつは役に立たないやつだ」と思われたんだと思います。ある時突然手紙が途絶え、面会しようとしても面会は受け付けてもらえなくなったので。