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「女子には絶対勝てる」と油断の相手をボコボコに 終盤力をみがいた松山将棋センターでの日々

「女子には絶対勝てる」と油断の相手をボコボコに 終盤力をみがいた松山将棋センターでの日々

山根ことみ女流二段インタビュー #1

2021/04/26
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他の習い事は全部辞めると両親に言いました

――将棋を始めるきっかけとなった、同じ小学校、中学校3人の団体戦についても教えて下さい。一緒に幼稚園バスに乗っていた幼なじみの同級生、藤岡隼太さん(元東大将棋部主将。3月に東大農学部を卒業)に、小4のときに文部科学大臣杯小・中学校将棋団体戦に出るために誘われて将棋を始めたと聞きました。同じ学校で3人集めなければ出られないので、友達を誘う子がたくさんいました。

山根 こんなに楽しい将棋に誘ってくれて、藤岡君には本当に感謝しています。最初は、その大会の応援に行っただけなのに、武市三郎七段の指導対局を受けられたんです。私は駒の動かし方だけ知っている状態だったのに、すごく上手く勝たせてくれて。それで一気に将棋にはまりました。

小学校の団体戦に出るために将棋に誘ってくれた3歳からの幼馴染、藤岡隼太さんと(山根ことみ女流二段提供)

――藤岡さんが驚くくらい、のめり込んだとうかがいました。

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山根 そうですね。それまでやっていた空手、ピアノ、水泳、学習塾の習い事は姉がやっているとか、お菓子がもらえるとかそんな理由で続けていたのですが、将棋は初めて自分が本当に面白いと思いました。市内にあった松山将棋センターは、毎日営業していたので、私もほとんど毎日通うようになりました。藤岡君は、塾とか他の習い事をしながら将棋センターにも通って強かったのですが、私はそんな器用なタイプではないから、すっきり辞めて将棋に集中するのが良いと子ども心に思い、他の習い事は全部辞めると両親に言いました。

もともと頭を使うパズルが好きで合っていたのだと思います

――将棋のどこが気に入ったのでしょうか。

山根 松山将棋センターの指導は、センターに来たら、まず主宰者の児島有一郎先生と駒落ちで指して、その後詰将棋を最低30分解き、さらに道場に来ている人同士で対局するというものでした。詰将棋は夢中になって解きました。30分では足りず1時間以上解いて、対局の合間とか時間があれば、さらに詰将棋。もともと頭を使うパズルが好きで合っていたのだと思います。

 

――松山将棋センターは、子どもには詰将棋をたくさん解かせて、終盤力を養う指導方針と聞きました。その方針がぴったり合ったのですね。

山根 本当にぴったりだったと思います。同級生の藤岡君はすでに高段者でしたし、1学年上にはさらに強い黒田尭之五段もいました。黒田五段には八枚落ちの頃から教えてもらい、お世話になっています。ずっと目標で追いつきたいと思ってやってきましたけれど、今も追いつけていません。