「あのー、藤井聡太さんと対局された方ですよね?」
――深浦先生は、この王位戦の第2局でも立会いを務めておられましたよね。
深浦 北海道の対局ですね。このときは対局が終わった後に、木村さんと副立会の野月くんと自分の3人で飲みに行きました。普通の居酒屋さんだったんですけど、お会計のときに店員さんが「あのー、藤井聡太さんと対局された方ですよね?」って色紙を持ってこられたんですよ。
遠山 わはは(笑)。
深浦 木村さんも酔っ払っているから「藤井聡太って書きましょうか?」と彼なりのユーモアで返していました(笑)。
――アンケートで票が集まったこの3局以外にもいろんな対局に投票をいただきました。そんななか熱いコメントが多かったのが、竜王戦2組ランキング戦の藤井聡太二冠vs松尾歩八段の対局です。とくにこちらのコメントが素晴らしかったのでご紹介します。
〈観る将アワードを投票しようと思っていたが、まさか締め切り間近にこんな名局が生まれるとは思ってもいなかった。将棋教室の帰り道にTwitterを覗いたら、TLが4一銀で溢れていた。ワッショイだ!と確信して家路を急ぐ。棋譜中継を見て後手の飛車取らない理由が知りたくてたまらない。今までも藤井二冠の名局、妙手は数あるが、ど素人の級位者でも理由を知りたくなる局面での妙手だと思う。素晴らしさをどこまで理解できたかは分からないが、両対局者のこれからが楽しみでならない一局でした〉(40歳/女性)
深浦 この方はどっぷりつかってますね(笑)。
――さて、どれを大賞に選びましょうか。やはり藤井二冠にとって初のタイトル戦となった棋聖戦が注目度が高いようですが……。
深浦 棋聖戦の4局目は、プロが見て名局ですよね。でも観る将的には、第1局でしょうか。
遠山 第1局は、序盤で渡辺さんがちょっと失敗していて、藤井さんがちょっとリードしてスタートしている感じなんです。だからプロ的には4局という声もあるんですが、名局賞はこれだけ支持が集まった棋聖戦第1局ではないでしょうか。
深浦 そうですね。
――では「観る将的名局賞」は、棋聖戦第1局渡辺明棋聖vs藤井聡太七段に決定したいと思います。
受賞の言葉(師匠の杉本昌隆八段から代理コメントを頂戴しました):
藤井聡太二冠の「観る将的名局賞」受賞を嬉しく思います。
深浦さんの言われる通り、あの対局の後日に連続王手の局面を藤井七段(当時)に聞いたところ、確かに淡々としていましたね。
私は現地でハラハラしましたが、最後は藤井七段が逃げ切るはずと内心は落ち着いていました。なので私も大物です(笑)
今後も藤井二冠の将棋をご注目宜しくお願い致します。
話題性も豊富な「観る将的最優秀棋士」
――続いて「観る将的最優秀棋士」の選考に移りましょう。まずアンケート結果はこのようになりました。
投票数第1位 藤井聡太二冠 67票
投票数第2位 永瀬拓矢王座 10票
投票数第3位 渡辺明名人 8票
深浦&遠山 まあ、そうですよねぇ(笑)。