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《貴族の男性2人にベッドで溺愛され…》ハーレクイン・王道ロマンスの裏で、過激な愛欲描く新レーベル「エロティカ・ラブロ」

《貴族の男性2人にベッドで溺愛され…》ハーレクイン・王道ロマンスの裏で、過激な愛欲描く新レーベル「エロティカ・ラブロ」

社外秘の「性描写をめぐるガイドライン」とは?

2021/05/07
note

——ハーレクインは昔からあまり変わらないイメージがあったのですが、時代に合わせた変化もしているんですね。

佐藤 最近では人種の多様化も進んでいます。初期のハーレクインの原作者はほぼイギリス人作家だったので、ヒロインもヒーローも白人ばかりでした。しかし時代の流れを受けて、中東系や、イタリア・スペイン・ギリシャなどのラテン系ヒーローが登場するようになりました。しかも、彼らにハマる読者さんが多いんですよ。

©️iStock.com

「俺色に染まれ」系アラブの王子が登場する《シークもの》

——ヒーローの人種が、読者の支持を受けて人気ジャンルになっていくということですか?

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佐藤 はい。特に中東系ヒーローが登場する作品は《シークもの》と呼ばれ、今や定番の人気ジャンルです。シークとは、わかりやすく言えば「アラブの王子様」。桁外れのオイルマネーとエキゾティックな容姿、そしてたいがい「俺色に染まれ」系の尊大な性格(笑)。一夫多妻のハーレム文化があるので、最初はそれを理解できないヒロインと衝突しますが、圧倒的な男性的オーラで魅了していく。

 近刊では、作品すべてにハズレがない巨匠、リン・グレアムの『砂漠の花嫁』がおすすめです。

 

『砂漠の花嫁』リン・グレアム

「ヒーローは中東某国の皇太子。ヒロインは学生時代から彼に求愛されるも、『身分違いだわ』と一旦引きます。ところが数年後、仕事で彼の国を訪れたヒロインは、いきなり空港で拘束されて宮殿へ。そこで再会したヒーローにハーレムで誘惑され、さてそこから……⁉という、王道のシーク・ストーリーです」(佐藤さん)

コロナ禍で《記憶喪失もの》がジワジワときている理由

——確かにコロナ禍だとそういった非日常のエンタメが欲しくなりますよね。コロナ禍以降でヒットしたジャンルもあるのでしょうか?

佐藤 ハーレクインには以前から《記憶喪失もの》があるのですが、これがジワジワときているなと感じています。《記憶喪失もの》は記憶喪失になったヒロインが「今までとは違う新たな自分自身を生きていく」ストーリー展開なのですが、いまラノベなどで流行している“異世界転生もの”に通じる部分があるのかなと。

 コロナ禍で世間が閉塞する中、「もし違う自分だったら」「違う世界に行けたら」というモヤモヤ感を持った方が多いと思うんですね。ハーレクインの《記憶喪失もの》は、そんな願望をビビッドに描きだしてくれます。

 

『眠り姫は愛にさまよう』リン・グレアム

「昨年9月に発売したリン・グレアム作品。これはヒロインが頭を打って記憶を失い、意識が戻ったらイタリア富豪と結婚していたというストーリーです。ヒーローはヒロインの回復を願いつつも、なぜかすごく冷たいんですよ。でもその理由が記憶をなくしているからわからない。『別の自分になる』という爽快感を味わいながら、夫の気持ちがわからないという共感も得られるんです。リングレお得意の波乱万丈なストーリーで、発売直後から厚い支持をいただきました!」(佐藤さん)