金儲けの話なら断ろうと思っていた
「最初のきっかけは、友人で写真家の池田晶紀さんに2年ぐらい前に呼ばれたことです。『神田にサウナを作りたい』と。これがもし、いわゆる不動産開発的な、金儲けにかかわる話だったら最初から断っていました。名古屋のサウナラボをやった時に、色んな大手デベロッパーから『サウナ今流行ってますよね。サウナ作ったら面白いと思うので、ご出店いただけませんか?』みたいな話がイヤというほどあって。そんなの全部放っておけ、全然やる気ないからって言っていた。中にはまじめなお話もあったんですが、そもそも拡大志向もありませんので、ご迷惑かけちゃうからと全部断っていたんです。
だけど池田さんや建築家の藤本さんや安田不動産さんのお話を聞いてると、ここをリノベーションして街全体を変えていきたいという話だった。サウナで街が変わっていくということは一貫してやりたかったことなので、これはちょっと違うなと思ったんです。この街が変わって、東京の人が変わって、そして日本が変わっていった結果、世界が変わっていくみたいなことが、サウナでできる可能性がある。うちのサウナに来てもらってととのった人が、それぞれの場に帰っていって、そこをまた変えていく。そういうことをしたいと常々思っていたので。
建設費用についてはある程度、負担していただけるという話もあったので、それも大きかったですね。ただ、安田不動産さんのバックアップがあるとはいえ、運営は我々がやりますから、当然リスクもあるわけで。その中で、『よしやってみよう』って最後に思えたのは、街でのストレスを解放する自然のサウナを一番必要としているのは、東京の人達だと思ったからなんです」