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 2000年代になるとナイジェリア出身のタレント、ボビー・オロゴンがバラエティ番組などで笑いを提供し、日本人にとってナイジェリア人が身近なものに感じられるまでに至った。最近では、ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ、プロ野球選手のオコエ瑠偉などの2世が活躍し、日本社会にナイジェリア人は浸透していっている。

 だが、それは表社会だけではなく裏社会もだ。来日するナイジェリア人の増加は、確実にナイジェリア人アウトローも生み出していった。ナイジェリア人不良グループの勢力が、裏社会で話題となったのは2012年頃だ。

「歌舞伎町で、ナイジェリア人の客引きが、有名なヤクザの親分を殴ったらしい」

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暴力団にも一歩も引かない凶悪性

 繁華街で生きる客引きには、守らなければいけない1つのルールがある。それは、暴力団には声を掛けないという決まり事だ。しかし、ルールを知らないナイジェリア人の客引きの1人が、たまたま歩いていた暴力団の組長に声をかけてしまったのである。

 組長に注意をされるナイジェリア人の客引き。すると、事情の分からないナイジェリア人の客引きは激怒して、その場で組長を殴るという暴挙を起こしたのだ。すぐに事態を聞きつけた暴力団構成員が集合し、ナイジェリア人の客引きに襲い掛かる。歌舞伎町の路上で暴力団とナイジェリア人の客引きたちとの喧嘩が発生し、大勢の警官が出動する大騒ぎとなったという。

写真はイメージ ©iStock.com

 この事件は都市伝説のように広まっていき、メディアにも取り上げられ、インターネット上の掲示板でも書き込みが溢れた。事件があったことを否定する暴力団関係者もいて真相は不明だが、歌舞伎町の裏社会にナイジェリア人不良グループの存在が周知されたことだけは間違いなかった。

 歌舞伎町に縄張りを持つ武闘派で知られる暴力団に所属していた元幹部(50代)は言う。

「薬の売買の時にナイジェリア人の奴らと揉めたことがある。俺が現役の幹部だと知っているのに、大勢のナイジェリア人に取り囲まれた。ボスは身長が2メートルぐらいある大男で、その場の喧嘩じゃ絶対に勝てないと思ったね」

 暴力団にも一歩も引かない凶暴性を持つナイジェリア人不良グループの実態とは何なのか。私は手探りのところから取材を始めるしかなかった。