ボディラインが気になってくる薄着の季節。お腹周りの脂肪が気になる方も多いかもしれない。そんなとき、真っ先に思いつくのは「腹筋トレーニング」ではないだろうか。しかし、パーソナルトレーナーとして活躍する清水忍氏によると、腹筋トレーニングでお腹の脂肪が落ちることはないのだという。はたしてその理由とは。
ここでは同氏の著書『ロジカル筋トレ 超合理的に体を変える』(幻冬舎新書)の一部を抜粋し、腹筋トレーニングにまつわる誤解について紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)
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腹筋トレではおなかの脂肪は1グラムも減らない
腹筋運動をやっても、体脂肪が落ちなければ腹筋タテ割れにはつながらない──。その事実を知ったみなさんの中には、「なんだ、じゃあ、おなかにたまっている体脂肪が落ちるくらいに腹筋トレーニングをがんばればいいだけの話じゃないか」と考える人もいらっしゃるかもしれない。
しかし、残念ながら、これも「タテ割れ」にはつながらない。
なぜなら、腹筋トレをがんばったところで、おなかの脂肪は減ってくれないからだ。
ここではっきりお断りしておこう。
腹筋トレーニングをやっても、脂肪は1グラムも落ちない。おなかの出っ張りも1ミリも引っ込みはしない。また、これと同じように、腕立て伏せをやっても二の腕の脂肪は落ちないし、スクワットをやっても下半身の脂肪が落ちることはない。つまり、筋トレの動きによってやせることはないのだ。
「そんなバカな! じゃあ、これまでやせようとがんばってきたトレーニングは何だったんだ」と思う人もいるかもしれない。
そういう人々には、非常に残酷な宣告を突きつけるようでたいへん申し訳ないのだが、「筋トレ自体ではやせない」ということは医学的・科学的な事実なのだから仕方ない。
まあ、テレビなどのメディアでは、筋トレをすればスリムになるかのようなイメージが喧伝されているので、筋トレでやせると誤解してしまう人が多いのもやむを得ない。具体的な例を挙げれば、有名シェイプアップジムのテレビCMを見て、「自分もあんなふうにやせたい」と思う人も少なくないはずだ。
だが、あれは基本的に食事制限によってやせているのだ。
多くのシェイプアップジムでは、毎日の食事を徹底的に管理して制限することによって脂肪を落としている。ただ、食事制限だけでやせると筋肉まで落ちてしまうから、そうならないように筋トレをしっかりやりましょうというスタイルをとっている。つまり、「脂肪を落とせた」「やせられた」という“結果”を出すことができているのはあくまで食事制限のおかげであって、筋トレのおかげではないのである。