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通算で810勝すれば九段になれる
「勝つことはえらいことだ」とは塚田正夫名誉十段の言葉だが、簡潔にして真実をついているのが名言とされる理由だろう。そう考えると棋士が勝利を積み重ねた先に表彰があるのは当たり前のことなのだ。冒頭で触れた将棋栄誉賞がその一つだが、もう一つがいわゆる「勝ち星昇段」だと思う。
四段昇段後、通算100勝で五段に昇段、同様に五段から六段は120勝、六段から七段は150勝、七段から八段は190勝、八段から九段が250勝である。つまり、通算で810勝すれば九段になれるのだ。無論、将棋栄誉敢闘賞にさらに10勝を積み重ねるのが大変なのは言うまでもない。別表の通り、通算800勝を達成した棋士はこれまで24名しかいないのである。
だが「勝ち星昇段」は必ずしも評価に結びつくものではないという見方もある。五段や六段へ勝ち星で上がるのは「それまでに別の昇段規定を満たせなかった」ということに結びつくからだ。これは若手棋士が常に持つジレンマであろう。「100勝の前に五段」は一つの目標になっているとも言える。