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「やっぱ週3日以上が条件か……」いまだにチェックしてしまう

――そこで疫病のことを調べて、医療崩壊を描かれているのだからすごい。澤田さんは理系もお好きなのかなと。 

澤田 好きですね。中学の時に長野まゆみさんのお作で鉱物や天体にすごく興味を持った世代です。 

 そうそう、大学院を出てさてどうやって生きていこうと迷った時、選択肢が三つあったんです。まず、歴史系のアルバイトを続ける。結局この道を辿ったわけですが、もうひとつが看護学校に入って看護師を目指す、三つめが海洋学部のある大学に入って水族館の飼育員を目指す、というものでした。結局、試験勉強をやる必要のない安易な道を選んで今ここにいます。 

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――水族館の飼育員、ですか。 

澤田 系統だった勉強はできていませんが、魚類や海獣は大好きです。一日中アシカを眺めていられます。今も時々水族館のアルバイト募集を調べますね。専門知識がないので、グッズショップなどのスタッフになりますが、「やっぱ週4日以上が条件か……」とか言いながら(笑)。 

――水族館ものの小説となると現代が舞台になるから書くのは難しいでしょうか。でも、水族館ものを書くとなれば、取材に行き放題ですよ? 

澤田 動物園ものなら明治期を舞台に書けるだろうけれど……。日本の水族館って、いつできたんでしょうね。でも取材、いいですねえ。行きたいなあ(笑)。 

 動物園や水族館のように、生体を扱っている場所はグループワークでハード面もソフト面も支えている点が、一人でお仕事する小説家としては羨ましいんです。私は組織ものも結構好きなんです。律令制の時代をよく書くのは、法律の中で生きた人たちって面白いなと思っているからなんです。 

いくつになっても、新しいことに挑戦したい

――さて、今後のご予定というと、まずは「赫夜」ということでしょうか。 

澤田 それと「オール讀物」で、江戸時代の初期に中国からやってきた隠元という禅僧を取り巻く人たちの話を書いています。あとは今年の後半くらいに脱稿できれば嬉しいなと思っているのが初めての戦国もので、不干斎巴鼻庵、ハビアンという人物の話です。元々お坊さんだったんですが、キリスト教徒になり、ところがその後、なんと修道女と逃げてしまって。棄教して今度は反キリストの急先鋒になったという彼について書こうとしてます。 

――初めての戦国ものですか。毎回新たな挑戦をされていますね。 

澤田 知らないことを知りたいから、いつも違うことを選んでしまうんです。だからコスパが悪い。 

 

 私は皆川博子先生が憧れで。おいくつになられても新しいことに挑戦なさり、日本を舞台にしたものから世界を舞台にしたもの、時代もまさに縦横無尽にどんどん変化を続けられている。ああいう作家になりたいんですよね。そして長く書ける作家でいたいと思っています。 

撮影=松本輝一/文藝春秋

 

星落ちて、なお

澤田 瞳子

文藝春秋

2021年5月12日 発売