――波動(笑)。
幸 ほんまにこれ、年を取ることは必要なんやなと思ったんですよ。最近やっとやりたいことと年齢が合ってきたというのもあると思いますね。時代の変化もあるし。つい最近、我々が『ネタパレ』(フジテレビ)という番組に出てネタやった時に、ある後輩のパクリやってSNSで言われたんですよ。金属バットのパクリやと。
――昨年のM-1敗者復活戦で2位だった金属バット。
幸 一緒にライブもやってるから、知ってる人は知ってるんですよ。金属バットより我々のが先輩やし、先にこの芸をやってた、って。それでもそれを言うというのは、女にこの感じのネタやられたらムカつくというのがあると思う。あとは、単純に大好きな金属バットの近くに女芸人がいるのが気に食わんという、すごいメス感の強いヤツからの嫉妬もある。
――ああ、そういうところでも「自分は女なんだ」を再確認させられますね。
幸 でも、ファンの人の中でも、気づいてくれる方、いるんですよね。何かが変わってきてる気配はしている。こういう取材の話がくるということも含めて。
彩 これは、我々が今までずっと、暗闇の寺子屋みたいなところで言ってたような話なんですよ。
世間の変化に、テレビやお笑いは追いついていない
――暗闇の寺子屋(笑)。テレビの中でもそういう変化は感じていますか?
彩 いやまだまだですね。これは世間が先でしょうね。「これはおかしい」「セクハラじゃないか」というのをまずネットでみんなが騒いでくれる。それで初めてテレビや芸能界が「こんなんやってたらあかんのや」って、最近やっと思い始めてきたぐらいやと思います。
幸 たぶんまだ気づいてないんじゃないですか、なにがあかんのか。
彩 お笑い界もそうですね。なにが悪いのかわからない。「なんかうるさく言われるから」という理由で男芸人は自粛してるだけで、意味をわかってない人、多いんですよ。怒られるから黙ってるだけ。
――女性芸人もそこは同じように問われてるのかもしれません。容姿いじりや下ネタをする/しない、乗っかる/乗っからないに関しても。
幸 そうですね。ゴリゴリの下ネタいけまっせってやってる女芸人みてても思うんが、男のやってる下ネタをそのまま真似てる。それで気分を害する人がいるってことを忘れて、私男勝りですからいけまっせって、男と同じ形でやりおるんですよ。あれはほんまにおもろない。「名誉男性」という言葉あるじゃないですか。それになろうとするなよって思ってますね。
――それをやらないと生き残れないと思っているのでしょうか。
幸 それはわからないけど、そんなことないんやでと私は思います。
――それをおふたりは証明しようとしてきたんですね。ネタで全勝ちできるという。しかしそれもほんとに厳しい道……。
幸 山でいったらエベレストですからね。最高峰ですから。でもその最高峰の登山に挑みたかったし、今も挑んでます。それが一番面白くて美しいことやから。
彩 そうですね。『M-1』は一昨年で終わりましたけど、そこへの挑戦はずっと続いてる。
写真=佐藤亘/文藝春秋
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