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『カムカム』と『あまちゃん』を比べてみると……
朝ドラブームに火をつけた『あまちゃん』(2013年)は祖母、母、孫の3世代の物語で、主人公アキ(能年玲奈 現・のん)が過去にさかのぼって母・春子(小泉今日子)と祖母・夏(宮本信子)の人生と重ねながら自己のアイデンティティを発見していく物語であった。『あまちゃん』もこれまでにない朝ドラとして高い支持を獲得したが、根底に『おしん』のDNA を潜ませていたからこそ大きく跳ねることができたと言っていい。
『おしん』や『あまちゃん』が過去に戻っていく物語であったものを『カムカム』は過去から現在、未来が続いているという、歴史に学ぶ物語を進行形のドラマに書き換えたという点で、新しい挑戦であり、時間は不可逆であるという認識に基づいた極めて現実的で前向きなドラマなのである。
しかも、人間はその人一代限りで死んだら終わりではなく、人と人との繋がりが未来を作っていく永遠性を描いている。そんなドラマが生まれたわけは、震災やコロナ禍……といろんなことがあり過ぎて、それでも前に進むしかないという今の日本の状況にほかならない。
果たして『カムカム』は2025年をどんなふうに描くのか。今、未来の希望を描くとしたらそれはどんなものだろうか。