生まれつき顔に重い障害を抱えた10歳の少年・オーガスト。彼と彼を取り巻く人々の心の成長を、映画や音楽などカルチャーの話題を取り混ぜながら、ポップでさわやかな筆致で切り取った児童向け小説が、好調な売れ行きを見せている。
「さまざまな登場人物の視点で、世界が立体的に描かれている。出版を決めたのは、そんなプロットの良さ、物語の力に惹かれてのことでした。大人でも楽しめる内容だという確信があったので、ふりがななどは児童書のルールで編集しつつ、売り方の部分では、翻訳小説の棚にも置いてもらえるように考えていました」(担当編集の木村美津穂さん)
刊行前にはダイジェスト版の小冊子を書店関係者向けに配布。Facebookに専用ページを設け、事前の反響を拾い上げた。刊行後にも、店舗や読者からの反響を小まめに紹介。相互作用を生む地道な活動が、ヒットの実を結んだ。また、児童書へのニーズの高まりも、売れ行きを後押ししたようだ。
「児童書は読後感のよいものが多く、それでいて、根底には真面目な問題意識があります。ただ面白いだけではなく、考えさせられるところがある。そうした内容への信頼感から、今、児童書を手に取る大人が増えているのではないでしょうか」(木村さん)
ハリウッド映画化が決まり、青少年読書感想文全国コンクールの課題図書にも選ばれた。家族で「夏の1冊」にしてみては?
2015年7月発売。初版1万4000部。現在9刷20万部