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「先取りしすぎた」タワマン、“27億ション”…バブル時代の「スペシャルすぎるマンション」

「先取りしすぎた」タワマン、“27億ション”…バブル時代の「スペシャルすぎるマンション」

伝説マンションBEST45 第5回・1980年代「バブル」編

2022/06/25
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33 南青山高樹町パークマンション(1990年/三井不動産、太平洋興発)

「南青山高樹町パークマンション」(港区南青山)は三井不動産と太平洋興発が1990年に分譲・竣工した物件である。施工は大林組。階数は4階建て。分譲戸数は17戸であるが、平均価格が9億7235万円、平均専有面積は176.42㎡、平均坪単価は1822万円である。6戸が10億ションになっている。

南青山高樹町パークマンションの外観写真(2012年4月撮影)
南青山高樹町パークマンションを囲む外壁(2016年5月撮影)

 高額なのは分譲時期からすると当然だが、当時から他のマンションとは異なる存在感があった。それは分譲戸数17戸に対して、間取りが16タイプあることに表れている。

 このうちHとIタイプは各2戸あるが、図面を詳しく見ると微妙に違う。つまりこのマンションには「ひとつとして同じ間取りはない」のだ。メゾネットタイプが4戸、「離れ(HANARE)」を有する住戸も3戸ある。

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 このように凝った間取り配置をすると建築コストを大きく押し上げる。単にバブル期に分譲されたから「バブル仕様」というわけではなく、その贅沢な設計に強い主張を感じる。

南青山高樹町パークマンション間取りの「HANARE」

 表参道駅から徒歩14分というやや駅遠立地であるが、現在も坪500万円から600万円で流通している。中古流通価格は現在も上昇し続けている。高い価値を保ち続けているのは、この強いこだわり=「矜持」が価値に転化したからなのだろう。

 その後の三井不動産・三井不動産レジデンシャルの最高級ブランド「パークマンション」の間取りを見ると、このマンションを思い出す。私は、このマンションは「作品」と呼ぶべきだと考える。