34 有栖川ヒルズ(1991年/日計)
有栖川ヒルズは1991年に日計が分譲し、同年竣工した超高額マンションである。施工は清水建設で、この物件に限らずバブル期にはスーパーゼネコンの施工物件が多いことに驚く。
今回は1980年代にフォーカスしておきながら、南青山高樹町パークマンションに続き、1990年代の分譲物件を紹介するのは、1991年以降はバブル崩壊期に入りマンション分譲のトレンドが大きく変化するからである。このマンションの分譲時期は既にバブル崩壊後であるが、企画設計されたのは明らかにバブル崩壊前だ。
このマンション全体の平均分譲価格は21億315万円、平均坪単価は2947万円といずれも最高額。さらに、住戸単位で見ても分譲価格27億1627万円、坪単価3733.1万円はいずれも最高額だ。この2つの最高額は違う住戸のものである。これらの最高額は今なお更新されていない。
階数は6階建てで分譲戸数は12戸。12戸のうち専有面積が200㎡を下回るのは1戸(それでも185.75㎡)のみ。
バブル期の物件に多く見られる大理石の使用は、この物件でも大きな特徴だ。仕様書には共用部分と専有部分に多くの大理石が使われていることが示されている。
東京メトロ日比谷線広尾駅から5分というこれ以上ない立地に加え、有栖川宮記念公園に南西方向に接する立地環境は、さながらセントラルパークの南に面して建つニューヨークのダコタアパートメントのようである。
将来的に周辺環境が大きく変わる可能性は低く、分譲当時の価格からはかけ離れたとは言え、築年数と周辺相場から見て高価格を維持している。現在の坪単価は550万円前後、分譲価格は200㎡を超える住戸で3億円以上となっている。価格はここ10年間ほど概ね横ばいを維持している。