文春オンライン

2022/08/17

「地震予知は不可能であり幻想に過ぎない」

「駿河湾を震源域とする東海地震がいつ起きてもおかしくない」という研究者の報告で、1978年に「前兆を観測し被害を最小に抑える目的」で「大規模地震対策特別措置法(大震法)」が成立し、多額の研究費が毎年投じられてきた。とくに阪神・淡路大震災を契機に政府機関として「地震調査研究推進本部」が設置され、東日本大震災の翌年には予算が年356億円に達した。「地震予知」は国家的課題となり多額の研究予算がついた。これまでの地震調査研究関係の政府予算は、9省庁で総額3000億円を超える。

 だが、地震予知はさっぱり進まず、他分野の研究者から「研究者が焼け太りをするだけ」とやっかみの声が上がった。地震予知の成果が上がらないことから、さまざまな批判にさらされることになった。その急先鋒が東京大学のロバート・ゲラー(現名誉教授)で、「地震予知は不可能であり幻想に過ぎない」としてきびしい批判を繰り返してきた。そして、こんな提言をした。

「地震予知はできないことを率直に国民に告げるべきであり、地震を予知するのではなく想定外の事態に備えるよう国民と政府に伝える必要がある」

 ついに、政府も地震予知が困難であるとして、2017年に内閣府の「中央防災会議」の調査会が報告書を発表し、「地震の発生時期や場所・規模を確度高く予測する科学的に確立した手法はなく(中略)、確度の高い地震の予測はできないのが実情である」と認めた。

 一方で、政府は火山噴火については予知計画を進めるために、1974年に「火山噴火予知連絡会」を発足させた。2007年には気象業務法が改正され、気象庁が噴火予知の主導権をにぎった。その改正で「5段階の噴火警戒レベル」とそれに応じて「噴火警報」を発令する仕組みがつくられた。だが、噴火予知は想定しなかった噴火が起きたり、予兆現象があっても噴火しなかったり、というのが現実であり、地震予知よりも少しは進んでいるというのが現状だ。

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