以来、歌舞伎町のホストクラブの初回に、たまに足を運ぶようになり、やがて担当もできた。
薬剤師を目指す新人ホストとの出会い
「最初の担当は、大学生の新人の子だったんですけども、宣材写真を見るとめちゃくちゃ顔が綺麗なんですよ。マスクしててわからなかったけど。たぶんわたしが見たホストでいちばん綺麗だったんじゃないかな。でも、担当にした理由は、顔に惹かれたんじゃなくって、薬学部で薬剤師を目指してるっていうことで、生物学の話とかをしてくれるのがいいなっていうのと、わたしも身内に薬剤師がいるからそこも親近感があって。薬剤師さんって患者さんに親身になることが必要じゃないですか。そういうところを育てたいっていうお母さんみたいな気持ちもあって(笑い)。
でも、いざ担当にしたら全然ダメだったんです。だって、彼はわたしよりホスクラ用語や、ホストクラブのグループ編成を知らないんですよ。集客のためにSNSやったほうがいいよってアドバイスしたんだけど、実家暮らしだから、親にバレたらやばいとかって、なかなか始めようとしないし。ようやくSNSをやりはじめたっていうので、Twitterのアカウントを教えてもらったら、名前が違うんです。
自分の顔写真も載せてるし、どこの店かわかる写真も載せてるのに、店の名前も、源氏名も載せてない。『この人、何がやりたいんだろう』って思って尋ねたら『友達も見るから』って。友達用と仕事用のアカウントは普通、分けますよね。なんだこいつって思っちゃって。
『じゃあ、なんでホストになろうと思ったの?』って聞いたんですよ。そこで嘘でも『将来、薬剤師として自分の店を経営したくて、そのお金の足しになれば』とかいう答えが返ってきたら、応援しようかなってなれたかもしれないけど、『将来、薬剤師になったときのコミュニケーション力をつけたいから』だって。なら、ドラッグストアとかで働いたほうが、勉強になるだろって思って。
もうやりとりするのもダルくなって『呆れた』って言ったら、『僕のことをまったく理解してないから、もう店に来なくていい』って言われて。それで一気に冷めちゃいました。わたし、ホストに色恋とか顔とかも興味がなくて。ヤる相手ならほかに探せばいいし。ただ、話してみたいなって思う人と話したいんです。時事問題とかの話もできるような人がいいなと」