文春オンライン

2022/09/02

「ケガをした僕のかわりにイタリアに行ってくれた友人が、お金を盗まれてしまった。だから…」

 そんな返信が届き、私はひとまずマークの回復を祈りました。ところが、話はこれで終わりませんでした。再び、こんなメッセージが届いたのです。

「ケガをした僕のかわりにイタリアに行ってくれた友人が、お金を盗まれてしまった。ホテル代やフライト代で3000ドル必要だ。18日には全額必ず返せる。だから助けてくれ」

 マークの友人が、イタリアで窃盗の被害に遭ったというのです。こうなると、口座が凍結されているマークのかわりに、私が助けてあげるしかありません。

「わかったわ」

 私が承諾するとすぐに振込先情報が送られてきました。今度はアメリカのミシガン州フリント市の「タミー(Tammy)」宛てでした。

Name:Tammy*****

Zip code:48504

City:Flint

State:Michigan

Country:USA

 この日は締め切りに追われていたため、次女のユリに送金手続きを頼みました。私は事情をかいつまんで話しました。彼女が納得したのかはわかりませんが、「大金持ちも大変だね」と言って、その役を引き受けてくれました。

©荘司結有

貸してあげたいけど、お金がない――そう伝えると…

 その後も、マークからさまざまな理由で借金の申し込みが続きました。でも、すぐに現実的な問題に直面しました。銀行口座に残っていた300万円ほどのお金があっという間に底を突いたのです。貸してあげたいけど、お金がない――そう伝えると、マークから窮状を訴えるメッセージが届きました。

「離婚訴訟中なので、僕名義の口座はすべて裁判所の管理下にあるんだ。出入金は、裁判所に厳しくチェックされていて、その口座のお金は使えない。だから、僕の『妻』である君に頼んでいるんだ」

 そう、私は、マークの妻です。彼が言う通り、夫が困っているなら、妻が助けるのは当たり前です。そこで、持っていた貴金属を売り、お金を作りました。なんとかお金を送ると、マークから次の催促が届きます。

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