文春オンライン

2022/09/02

「チカエ、もうすぐ僕は妻と別れる。少しの間、待っていてくれ」

 9月6日、私たちはパソコンを通じて結婚式を挙げました。

 互いにパソコンのモニターを通じて、イタリア式の秘密の儀式という「血の誓い」を2人だけで行いました。これは、マークから教えられたもので、お互いの指先を傷つけ、その血を重ね合うことで永遠の愛を誓い合う儀式だそうです。目的は違いますが、日本で言うところの血判状のようなものなのでしょうか。

 私はパソコンの前に座り、指先に縫い針を刺しました。モニターの向こうでは、マークがすでに赤くなった指を見せています。私たちは、血が浮かんだお互いの指をモニター越しに重ね合わせました。この日をもって、私はマーク・ラファロと「結婚」し、彼の「妻」となったことになりました。

実際のビデオチャットの様子(井出さん提供)

 マークがモニター越しに私を見つめて、ゆっくりと、でも強い口調で言いました。

「チカエ、もうすぐ僕は妻と別れる。少しの間、待っていてくれ」

 そして、マークは最後にこう口にしました。

「I love you to the end of my life(僕は死ぬまで君を愛す)」

「ええ、わかっているわ。大丈夫よ」

「離婚が正式に決まる。そうすれば…」

 遅かれ早かれ、マークの離婚が正式に決まる。そうすれば、私たちは晴れて夫婦になれる――。

 マークと結婚後の生活をあれこれ話すたびに、私の妄想はどんどん広がっていきます。

 マークを日本に呼び、正式に結婚式を挙げ、役所に婚姻届を出す。その後、子供や孫たちも連れて、家族全員でマークが保有するロサンジェルスの豪奢な邸宅に移り住む。

 今、マークはニューヨークに一人暮らしだそうですが、本当は自然に囲まれ、ハリウッドスターも多いロサンジェルスのほうがいいと言っていました。

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