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 アメリカにとって、黄色いリボンの歴史は古く、1949年のジョン・ウェイン主演の映画『黄色いリボン(She Wore a Yellow Ribbon)』の主題歌で、19世紀からアメリカ民謡として歌われていた。遠くへ行ってしまった恋人の無事を願って黄色いリボンを身につけるという歌詞がある。19世紀のイギリス民謡『All Around My Hat』にも似ているという。「恋人の無事を祈って黄色いリボンを付ける」は南北戦争までさかのぼる習慣だった。

 黄色いリボンの話は再会の話ではないけれど、実はアメリカには「白いリボン」という話がある。刑務所帰りの男が友人たちに「私の帰りを望むなら線路沿いの庭のリンゴの木に白いリボンを結んでくれ」と書いた。列車の中でリンゴの木を見て、リボンがあれば最寄り駅で下車する。なければ下車せず、ほかの町へ行く。そして列車が故郷に近づいて……という話。これは1959年に書かれた『Star Wormwood』という本に登場するエピソード。ジョン・ウェインの映画のあとだけれど、この話は伝承として古くから刑務所に伝わっていたという。

ドクターイエローが停まっている車両基地は?

 こちらを原典とすれば、『幸福の黄色いハンカチ』は『幸福の白いハンカチ』になっていたかもしれず、「しあわせの黄色い新幹線」は「しあわせの白い新幹線」になっていたかもしれない。しかし、ほとんどの新幹線車両は白いから、どの新幹線を見てもしあわせになれる。ありがたいような、ありがたみが薄まってしまうような……。

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提供:JR東海

 JR東日本が運行する新幹線電気軌道総合検測車、E926形電車も白い。愛称は「ドクターホワイト」ではなく「East i(イーストアイ)」という。この車両もなかなか目撃できない。前出のサイト「ドクターイエロー記念館」には「イーストアイ時刻表」も掲載されている。運転時刻は詳しいけれど、運転日の法則性は不明とのこと。3日かけて東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線を巡っている。つまり、ネットで1日目の目撃情報を見つけたら、2日目、3日目を狙えば必ず目撃できそうだ。

 ちなみに、ドクターイエローが検査走行しない日は、東京都品川区の大井車両基地に停まっている。ここは基地をまたぐ位置に陸橋があり、歩道からフェンス越しに目撃できる。運が良ければ、JR東海とJR西日本のドクターイエローが両方とも停車しているときがあるそうで、これがもっとも幸運かも知れない。

 この記事を読んだあなたがしあわせになりますように。