誰もが存在を知っているけれど、なかなか見られない列車。それが「黄色い新幹線」だ。

 愛称はドクターイエロー。なぜドクターかというと、レール周辺の軌道計測、架線、信号、通信設備を“健康診断”する列車だから。正式名称は新幹線電気軌道総合試験車923形という。

 顔つきは700系電車に似た「カモノハシ」だけど、700系ではなく、900番台の形式。900番台は事業用車の番号で、保線や資材輸送列車に与えられる。

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「ドクターイエロー」の愛称で知られる新幹線電気軌道総合試験車923形 提供:JR東海

ドクターイエローはいつ見られるのか

 923形はJR東海が1編成、JR西日本が1編成を保有している。つまり現在は2編成しかない。どちらも7両編成。

 見分け方は先頭車の車体側面にあるJRマークで、オレンジならJR東海保有車、青ならJR西日本保有車。そして製造番号だ。JR西日本の923形は3000番台の製造番号が与えられている。プラットホームなどで見かけたら、「黄色だ!」だけではなく、「JR東海のドクターイエロー!」「JR西日本のドクターイエロー!」まで言うと通である。

 見かけたらって言うけれど、いつ見かけられるのか。こればかりは「わからない」。市販の時刻表には掲載されていないし、乗り換え検索アプリでも表示されない。乗れないから時刻表に掲載する意味はないし、乗り換えの対象にならないからアプリの検索に引っかからない。鉄道ファン向け専門誌にも掲載されない。

 JR東海の広報に聞いても教えてくれない。それはきっと「教える必要がないから」だ。業務用車両だからお客さんは乗れない。見たいという要望に応えたとして、業務の都合で運休になれば、かえってガッカリさせてしまう。そうなると「なんで走らないんだ」とクレームが起きて仕事が増える。意地悪く秘密にしているわけではないのだろう。

 もしかしたら、広報担当に情報が伝えられていないかも。確認してみると、「理由も含めて回答いたしかねます」(JR東海広報)とのこと。

JR東海は年に一度、浜松工場を公開するイベントを開催している。ドクターイエローを間近に見るチャンス(2018年 撮影 杉山淳一)

ネット上に「ドクターイエローの時刻表」があった

 ところが、「ドクターイエローの時刻表」が存在して、インターネットで公開されている。それはJR東海公式ではなく、ドクターイエローが大好きなファンのサイトだ。私が参考にしているサイトは以下の2つ。

あのドクターイエローに必ず会える時刻表!!
https://dr-yellow-eline.com/

ドクターイエロー記念館
https://1001-kinenkan.jp/dryellow2210/