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「芸人の仕事が嫌いになりそうだった――」ナルシストキャラで早々にブレイクしてしまった狩野英孝が、今まで誰にも話せなかったこと

「芸人の仕事が嫌いになりそうだった――」ナルシストキャラで早々にブレイクしてしまった狩野英孝が、今まで誰にも話せなかったこと

狩野英孝インタビュー#1

2023/01/02

genre : エンタメ, 芸能

note

 ただ、そこにいくまでに、芸人の仕事もほとんどなくて。あってもたまにライブに出るくらい。バイトをしても、先輩に「明日ライブあるから手伝って」って言われたら、バイト先に連絡して、急遽休むんです。それを何回かやってると、バイト先から「もう来なくていいよ…!」って言われてしまう。また違うバイトを探すんですけど、なかなか安定しなくって。

 そのうち、どんどん生活費もなくなって、借金が200万くらいに膨れたりで……。ストレスで血尿がでたこともありました。そして、気づけば電気が止まり、ガス止まり、携帯止まり、水道も止まって。ちょうどそのときインフルエンザにかかって、家の中で遭難したみたいでした。近所に友達がいたので、どうにか助けてもらいました……。

©鈴木七絵/文藝春秋

「寝起きドッキリでベッドの上で目を開けたら……」

――狩野さんがテレビに出るようになって数年間は、周りの出演者は、ほとんど先輩芸人だったとか。

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狩野:そうなんですよ……! それが、本当につらくって……。たとえば、当時ロンブーさんの『ロンドンハーツ』にも、結構呼んで頂いたんです。でも、周りは次長課長さんや有吉さんや、ザキヤマさん、ジュニアさん、チュートリアルさんとか、みんな活躍している先輩ばっかりなんですよ。

©鈴木七絵/文藝春秋

 先輩たちは話術もあるし、テレビにも慣れていたと思うんです。でも、僕は少しずつテレビに出てはいたけど、基本的にはライブでネタをやるくらい。ライブがおわって、みんなでステージに集まって挨拶するんですけど、「今度、高円寺でライブやります! 僕チケット持ってるから、後で声掛けてくださーい!」とか、ステージから叫んでた感じで。フリートークなんて、ほとんど経験もなかったんです。そんな人間が、淳さんから話を振られても、全然うまく話せるなんてできなくて……。結局何も面白いことも言えず、先輩との実力の差を間近で見せつけられて、毎回凹んでましたね。

――また、『ロンドンハーツ』では、狩野さんがドッキリでも登場されていた印象もあります。

狩野:寝起きドッキリで、ベッドの上で目を開けたらロンブー淳さんがいて。それが淳さんと「はじめまして」ですよ。