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――なかなかない形の、「はじめまして」というか。

狩野:打ち合わせも何もなかったです。起きたらいきなり淳さんとスタッフさんが目の前にいて。自分も何がなんだかわからないし、夢なのかも謎で、あたふたして……、しかも自分一人だけ焦ってるし。

 しかも、その後も次のドッキリが続くんです。どこかでこっそり撮影されて、それをスタジオでみんなに笑われて。そもそも、こっちは笑わせてやろうとか思ってないから、手応えなんて感じてないし。正直、何が面白いんだろうって。なんなら、落とし穴とか入れられて、なんでこんなひどいことするんだろうみたいな。ちょっとドッキリとか嫌いになってた時期もあるくらい。

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©鈴木七絵/文藝春秋

 でも、オンエアが終わった後に、街とかで知らない人に話しかけられて、「昨日、テレビ見ました。すごく面白かったです!」って言われると、あぁ、そうなんだ……って。やっとそこで手応えを感じるというか。ず~っとその繰り返し。

実力不足を痛感して相談をしていた“あの人たち”

――当時、同期の中でも早く活躍されたと思いますが、お仕事について話をしたり、相談する人はいましたか?

狩野:あぁ、それが居なかったんですよ。芸人では居なくて、あのときって誰と飲みに行ってたんだろう……。そうだ、地元の友達とか、映画学校の友達とばっか飲みにいってましたね。

©鈴木七絵/文藝春秋

 淳さんも、ドッキリの現場とか収録でしか話をしたことがないんです。それは今もですけど。一緒にご飯に行ったこともないし、プライベートで喋ったことがないですよ。『ロンハー』は休憩もないので、淳さんの楽屋に収録前に挨拶にいって、「よろしく」って言われるくらい。基本的に本番中しか話さないんです。

――そこからしばらくすると、やっと同期の人達も売れてきたのでしょうか?

狩野:『爆笑レッドシアター』っていう番組が始まって、同期くらいの人達とユニット番組も始まり、やっとトークとかできるようになって、そこから少しずつ心強くなっていきましたね。

後編へ続く)

撮影=鈴木七絵/文藝春秋

ヘアメイク=Nao

スタイリング=中谷東一