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――それは残念です。先程おっしゃった内容は、「ネットと秋葉原」というそのものずばりのタイトルの文章にありますね。「メイド喫茶が流行しているのは『物はネットで買えてもサービスはネットでは買えない』ということの象徴だと思う。そこに秋葉原のさらなる発展のヒントがありそうだ」と。

写真=山元茂樹/文藝春秋

桃井 実際に今はそうなってきていて、14歳のアキバくんには『STEINS;GATE』の「ラボ」としての機能を、もっとみんなが求めるんじゃないかな、という気がします。あと「○○銀座」みたいなのと同じで、いろいろな地方、いろいろな国に、それぞれの「アキバ」があるんですよね。アメリカでも、チリでも、メキシコでも、広州でも、台湾でも、イベントで足を運ぶと、ホストが「ここが私たちにとっての秋葉原です」という場所に連れていってくださるんですよ。世界中のいろんな国に、オタクの集まる場所がある。『AKIBA’S TRIP-THE ANIMATION-』というアニメのエンディング曲、「セカイじゅうのAKIHABARAで」という曲はそのつもりで書いたんです、実は。そうした世界中にある「アキバ」の本物、みんなが憧れている場所なんですよ、「秋葉原」は。海外のオタク、コロナとかいろいろあるけどみんな元気かなぁ……。

――最近、秋葉原でもまたちょっとずつ、海外の方らしき人たちをお見かけするようになりましたね。

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桃井 またたくさん来てほしいですね。円安だし(笑)。海外の人に限らず、私と同世代、昭和50年代生まれの人も、秋葉原に憧れがあるんです。そういう人が「やっぱり店を出すなら秋葉原でしょ」という感じで、店主が高齢で閉めた店の跡地に入ったりしている話も見聞きします。14歳にもう一度戻る秋葉原がこれからどうなるのか、楽しみですよ。

「アキバくんが悪い女に引っかかっている!」みたいに言わないで(笑)

――桃井さんの名前を冠した時計もありますからね。

桃井 秋葉原電気街振興会のガイドマップに載せてもらっている「モモーイ時計」ですね。秋葉原駅の電気街口を出てすぐ、アトレ秋葉原の前に90年代からずっと同じ場所にさりげなく立っている銀色の柱時計。駅が改装されてもアスファルトがタイルに敷き替えられても、少しの移動もせずにずっと同じ場所にあるんですよ。待ち合わせの目印にしたり写真を撮ったりして欲しいですね。

 

――確かに、変わっていくものと変わらないものがあります。

桃井 これから秋葉原がどんなふうになるにせよ、私はこれからも幼馴染のアキバくんを応援しながら、ずっと見ていくし、ずっと会いに行くので、みんなもこれからも仲良くしてね。あまりコンカフェのことを悪く言わないでほしい。「アキバくんが悪い女に引っかかっている!」みたいに言わないで(笑)。正統派の、素敵なコンカフェもたくさんあるんだから!

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。