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 市川 僕は矢野隆さんの作品が大好きでずっと読んでいるのですが、集英社文庫の書き下ろしで出た『琉球建国記』がすごく面白かったです。格好いい英雄が大活躍する、昔ながらの歴史小説の面白さがあります。ド直球な男同士の戦いといったお話は最近あまり見かけなくなっているので、いいなと思いました。

 吉野 市川さんと好みが似ているなと常々思っていましたが、ついにおすすめが完全に被りました。『琉球建国記』、私もとても面白かったですね。帯に「水滸伝」と書いてあったのですが、まさに「漢」と書いて「おとこ」と読むみたいな、そういった熱いお話です。

 ここのところ文庫書き下ろしが多いですが、どうして単行本を出されないのか、不思議です。

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 市川 『琉球建国記』でさらに面白い作家さんになった感じを受けましたね。

 ――ありがとうございます。残念ながら、選考委員には五年の任期を設けておりまして、今回で阿久津さんと市川さんが選考のラストイヤーとなります。本当にお世話になりました。

 一同 (拍手)

 ――2023年は、司馬遼太郎、池波正太郎の二人が生誕100年を迎えます。偉大な先人の名作の映像化も予定されていて楽しみですが、もちろん新しい歴史時代小説がたくさん出てくるはずです。また来年も、どうぞよろしくお願いいたします。


「オール讀物」12月号より)