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 往路は両国駅を9時に出発する。すぐに新小岩操車場に到達するけれども、新金線には入らずに通過した。なぜなら、この方向から新金線に進む分岐線路がないからだ。両国・秋葉原方面は旅客電車専用だから、こちら側から貨物線へ進入する必要がない。必要がない分岐線路は作られなかった。

 したがって電車はそのまま総武線快速電車の線路を快走し、千葉駅に着いた。ここで折り返す。

両国駅西口駅舎。行き止まりプラットホームがあった頃の名残だ

 もっと手前の駅で折り返せばいいのに、と思うけれども、通常ダイヤの隙間を縫って走るから難しい。

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 千葉駅を発車した直後、駅ではないところに停まった。総武快速線の上下線に挟まれた1本の線路である。ここは黒砂信号場といって、回送列車や貨物列車、千葉駅で折り返し列車が待機するために作られた。列車は10分間停車して、成田エクスプレスに道を譲る。このほか、途中の駅で長時間停車し、特急や快速電車に抜かれつつ走った。

葛飾区の鉄道に乗るツアーで、なぜか千葉までやってきた。駅弁を買いたかったけど乗降は不可

「新宿新道踏切」が最大の難所になっている理由

 新小岩操車場に戻る。こんどは総武快速線から入線できた。なんと葛飾区長が線路脇で出迎えてくださった。手を振って応える。そうだ、185系電車は窓が開くんだった。「葛飾区長、新金線お願いしまーす」とお声がけ。「ありがとうございまーす」と返ってきた。

新小岩操車場に着く手前で葛飾区長が迎えてくれた

 進行方向が逆になって、新金線を北上する。沿線は住宅がたくさん建ち並び、高層マンションも多い。定期旅客列車を走らせたらお客さんが乗ってくれそうだ。葛飾区が示した旅客化案は、新小岩駅と金町駅の間に8駅を設置する案と5駅を設置する案を検討している。

 途中で京成電鉄の線路をくぐる。この付近に高砂駅(仮称)を設置し、京成電鉄と乗り換え可能とする。ただし、京成高砂駅と高砂駅(仮称)は直線距離で約300m、道のりで約600mもあり、連絡通路の整備が必要だろう。新金線建設の課題のひとつだ。

京成線との交差部。ここに駅を作る計画だ

 そして最大の難所は「新宿(にいじゅく)新道踏切」だ。水戸街道(国道6号線)の踏切で、ドライバーにとっては日出から日没まで渋滞するといわれるポイント。

新宿新道交差点を通る。渋滞している
新宿新道踏切のクルマの渋滞緩和策として、付近の踏み切りの拡張工事も実施中だ

 貨物列車は1日10本に満たないけれど、前後に信号が多いこと、信号設置踏切でクルマは通過できるのに、勘違いして一時停止するドライバーがいるため渋滞する。葛飾区は踏切を前提としてダイヤを工夫して渋滞を避ける計画だ。しかし国土交通省は立体交差計画を進めている。新金線を高架で立体交差させるという。それがなかなか進まないから膠着状態だ。