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 私が最初に取った弟子が柵木で、入門の話があったときは師匠(森信雄七段)か杉本さんにともいったのですが、お母さんから是非ともというお願いがあり、私の門下になりました。プロになってくれて、ホッとしたのはもちろん、弟子を育てることが出来て棋士としての役目を果たせたかなという思いがあります。師匠にも恩返しができたかな、とも」

 増田六段自身も三段リーグで苦労した経験があった。

「上がれる時がきたら上がれるというのが実体験ですね。柵木は絶対に上がれると思っていたので、力はあるのだから自暴自棄にならないようにと伝えていました。研究会仲間だった村山さん(慈明七段)に、柵木のVSもお願いしました。村山さんが本格正統派の居飛車党だったことも、お願いした理由の一つです。プロになってからは2~3年が勝負なので、そこまでに力を出し切って悔いのないようにしてくれたらと思います」

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 柵木とVSを行っている村山七段にも話を聞いた。なお村山七段は、森本とも研究会を行っている。もともとは増田六段の主宰で村山七段、横山友紀四段、徳田拳士四段というメンバーだったが、横山四段から森本にメンバーが変わった。

「森本は押し引きの駆け引きがうまくなった印象」

 ちなみに、森本も柵木も、もう一人が自分と同じく村山七段と研究会を行っていることは知らなかったそうである。

「柵木君とも森本君とも、2年くらいでしょうか。柵木君は本格派の居飛車党で、丁寧な受け将棋。よく研究しているなという印象があります。ネット将棋オンリーのVSで、1日に持ち時間15分秒読み60秒の将棋を3局指すスタイルですが、どんな局面でも最後の1秒まで考えています。そういう人は珍しいですね」

研究会の様子。村山慈明七段-森本才跳新四段戦(手前)と増田裕司六段-井田明宏四段戦(奥)の練習対局が行われている(写真提供:村山慈明七段)

 森本については、

「森本君は四間飛車一本槍と、最近では珍しいタイプです。基本的には藤井システムですが、AIによる研究を独自にアレンジしています。藤井システム対策にAIを活用する棋士はそこそこいると思いますが、藤井システムを指すためにAIを活用するという発想は新鮮ですね。

 早見え早指しが彼の長所でもあり短所でもあったと思いますが、最近の研究会では時間の使い方がうまくなり、攻め将棋のつくりもどっしりしてきました。押し引きの駆け引きがうまくなった印象です」

 と語ってくれた。

新四段3人への後日インタビュー

――少し時間が経ちましたが、改めてプロになった心境をお聞かせください。