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「朝の時点では7番手だったので…」大混戦の三段リーグを抜け出した3人が語った“憧れの棋士”

「朝の時点では7番手だったので…」大混戦の三段リーグを抜け出した3人が語った“憧れの棋士”

第72回奨励会三段リーグ最終日レポート

2023/04/01
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――今の率直な気持ちは?

小山「今日は少なくとも連勝しないと上がれないと思っていましたが、2局目の時点で自力になったことは想定しておらず、ふわふわした気持ちになっていました。それでも最終局はこれまで自分が勉強してきたものを出せたと思います」

森本「朝の時点では7番手だったので無理かなと思っていました。これまで13勝したことがなかったので、連勝するという気持ちで臨んでいました」

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柵木「8番手という厳しい位置だったので、プレッシャーがなく、上がれたのは運がよかったと思います」

柵木幹太新四段

「四間飛車党なので藤井先生(猛九段)と指してみたい」

――プロ棋士としての目標、尊敬する棋士などは?

小山「ここまでくるので精一杯だったので、今はまだありません。研究会で教わった方々に公式戦で当たりたいなあと思います。近い世代では岡部君(怜央四段)、少し上の先生では佐藤天彦九段です。尊敬する棋士は、子供の頃は羽生先生(善治九段)が憧れでした。今は憧れというより、強い棋士により近づけたらという気持ちです」

森本「高いレベルで指していきたいなあと思っています。まずは本戦、ゆくゆくはタイトル戦を戦えたら。四間飛車党なので藤井先生(猛九段)と指してみたいですね。初段の頃は三間飛車ばかり指していましたが、限界を感じました。その頃に藤井先生が角交換四間飛車をソフトなしで作り上げたのはすごいと思い、尊敬するようになりました」

柵木「ゆくゆくはタイトルを獲れるようになりたい、そのためにはもっともっと強くならなければと思います。目標は豊島先生(将之九段)で、将棋のスタイルが理想です」

2022年3月3日のA級順位戦最終局、豊島将之九段ー菅井竜也八段戦の記録を担当した柵木幹太新四段

1級から2級に落ちたときはつらかったはずだが…

――奨励会を振り返って、つらかったことなどは?

小山「三段までは順調と思っていましたが、三段からが自分の中で奨励会のスタートでした。ちょうど高校卒業と三段リーグで勝てなかった時期がかぶり、生活リズムが乱れて体調も崩しましたが、その時に親に支えてもらったのがありがたく、また師匠に研究会で教わったのも大きかったです」

森本「奨励会に入った時は、年下が藤井(聡太)竜王しかいなかったので、いつかプロになれるかと思っていましたが、3級で停滞しました。その時はつらく辞めようとも思いましたが、師匠に止められました。三段リーグに入ってからも、のちにプロになった三段と指した時は勝負にならず、すごいところに来てしまった、という思いがありました。リーグでの勝ち越しを3期続けた頃に、慣れてきたのかなと思いました」