野球の聖地のど真ん中でドナドナ前提の養豚場を経営しているようなもので、かの『マネーボール』のころから金満大正義の代名詞であるニューヨーク・ヤンキースに主力選手を奪われ続けるアスレチックスの惨状があますところなく描写されております。
WBCでも欧州からきた弱小チームとして愛されたチェコでは、アスレチックス出身のエリック・ソガードさんが出たりもしていました。あだ名は「Nerd Power(オタクちから)」。メガネをかけた堅実守備のプレイヤーで、3Aでは爆発するけどメジャーに上がるとパッとしない典型的な4A選手(二軍の帝王的な)だったんですが、若手有望株を取ってきて試合に出してはイマイチだとパッと次の選手を取ってくるシステムだと、どうしてもこういう育ち方をしてしまうのかもしれません。それでもメジャーの試合に出られるというのは大チャンスであって得難い経験なのだとも言えますが。
大谷相手でもそれなりにやれる……のか?
エンゼルスとの開幕カードの見どころは、やはり「アスレチックスは点が取れるのか」です。みんな同じく目玉が2個、手足が2本ずつ付いているのですから、同じルールで戦えば大谷相手でもそれなりにやれるのではないかという程度の期待感しかもてません。まあ頑張ってよ。
昨年2022年シーズンは主力大量放出でチームは無事崩壊し、60勝102敗とアメリカンリーグワーストの勝敗となったのはアスレチックスらしいなとも思います。
それもこれも、オーナーシップや球場移転問題で揺れるアスレチックスとしては、球団としてカネをかけて強くしても、ファンはこないし球場はボロいし、選手は出る喜びを感じるだろうしどうにもならんわけですよ。
その点では、川崎球場から千葉マリンスタジアムに移転した千葉ロッテが良い先例になるのではないかと思います。アスレチックス開幕投手のマラーほどではないけれど、左腕・園川一美が千葉ロッテの開幕投手を任され、相手の福岡ダイエーホークスの監督をしていた世界の王貞治さんから「開幕投手にも格というものがあるだろう」と猛烈にブチ切れられるという大事件が発生しました。