90年代、世界的ヘビーメタルバンドのギタリストとして、全世界でメガセールスを記録したマーティさん。「自分が求める音楽は日本にある」と2004年、東京に活動拠点を移して以降、B’z、石川さゆり、ももクロ等、幅広い日本のアーティストと共演&プロデュースしてきた。
3月2日に世界190ヶ国で同時配信される日本のオリジナルアニメシリーズ「B: The Beginning」では主題歌の作曲・プロデュースを担当、イメージアルバムが発売される〔公式サイトはhttp://www.b-animation.jp/ 監督は映画『キル・ビル』アニメ制作の中澤一登氏〕。
「ダークな感じのミステリーで、ストーリーに引き込まれます。楽曲もドラゴンアッシュのKenKenさん他、すごい方たちが参加してくれて、1年、試行錯誤して完成した作品です」
ソロデビュー30周年を前に、昨年夏、渾身のアルバム『Wall of Sound』を発売。母国アメリカに続き、4月からは南米ツアーが始まる。
「文化庁から“日本遺産大使”に任命されまして、アルゼンチンでは日本について講演するんです。本当に名誉だけれど、大使にならなくても僕は日本の良いこと、普段から世界のあちこちで話してますよ(笑)」
日本びいきの外国の方は沢山いるが、マーティさんはJポップ、コンビニ、町で接する店員さん達の働きぶりといった「日本の普通の暮らし」に惹かれて独学で日本語を学び始め、アリゾナ州立大学の日本語弁論大会で第2位になり、やがて日本に移り住んだ。
「日本では音楽以外の色んな仕事をさせてもらいます。屋外でのナレーションは、カンペを間違えずにいかに早く読むかの練習だし、政治の話題を頼まれたら、そのために勉強します。日本語ぺらぺらのガイジン目指して(笑)」
東京暮らしも14年。日本に対する印象は変わったりしないのだろうか?
「全然、日本は飽きない。日本の生活には毎日“有難さ”が溢れてますよ。外国人が日本に着いて、京都や奈良へ行けば千年前の日本を見られて、東京の大型電気店に行けば、10年先の近未来が手に入る。日本はすごく変わるけど、何も変わらない。こんな先進国は他に例がない。伝統と新しさを両方持っているところが美しいんです」
2月25日の東京マラソンでは、去年に続き、スタート地点でギターを演奏し、ランナー達を力強く送り出す。
「テレビに出てる僕を見て興味を持った人が、1人でも僕の音楽を聴いてくれたら嬉しいです。音楽を続けるのは大変かって? 僕にとって音楽は“歯を磨くぐらい”自然なこと。努力だと思わないから続けられるんじゃないかな」
マーティ・フリードマン/アメリカ・ワシントンD.C.出身。世界的ロックギタリスト。来日公演を通じ、日本とJポップが好きになり、独学で日本語を学び始め、日本語弁論大会第2位に。2004年、活動拠点を東京に移す。音楽活動のほか、数々のTV出演で音楽ファン以外も魅了するマルチ・アーティストとして活躍中。
3月23日ラドンナ原宿(03-5775-6775)にて
https://www.la-donna.jp/events/marty-friedman-passionate-guiter/
取材・文:樋渡優子