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 同じことは、長期にわたる共産党委員長の立場にある志位和夫さんら執行部への批判を巡って、発言者の党放逐など形骸化した党運営への不安感にも反映されているのかもしれません。

岸田政権へのカウンターとして維新がふわっと支持を拡大

 今回の衆参補選以外は地方選挙であるため、岸田政権に対する是非を総じて判断することはむつかしい面はあるのですが、政権支持率も含めてみる限りでは、むしろ伝統的な左派野党勢力の運営行き詰まりが顕著に見て取れる結果となりました。しかも、維新躍進の原動力となっている現状に対する閉塞感・不満の内容をしげしげと見ると、経済・雇用のような生活防衛に関わる政策が、年金や医療・介護といった高齢者福祉よりも優先されるべきというかなり確立した自民党への批判が凝縮されていると言えます。

 そう考えると、実は岸田政権というのはサミット前の成立を目指したいLGBT法案や難民認定の入管法改正案といった割と左派が喜ぶ系の政策を国際公約として実現しようとしたり、子育て世代への支援拡大を進めるために社会保険料のさらなる引き上げを目指したり、かなりの大きな政府方面を実現する左派政権の色彩を強くしているようにも見受けられます。

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 これらは「自社さ政権のような数合わせの結果左翼を政権に加えてみました」という話ではなく、長きにわたった安倍政権からの揺り戻しも含めて、岸田カラーというのは本来そういう穏健左派的政策と親和性が高かったんですね、という結論になるわけですよ。

 したがって、維新の躍進は、松井一郎さんによる維新の組織運営が上手くいった面に加えて、これらの岸田政権の隙あらば増税・社会保険料引き上げへのカウンターとしての、勤労世帯の生活防衛の延長線上としての維新がふわっとした支持拡大で盛り上がっているものなのだ、と言えましょう。

サミット後の早期解散はあり得るのか?

 蛇足ながら、選挙後の各種調査を見ていると、ほとんどの地方議会で議席を失ってしまった旧NHK党と、今回左派政党の失った地方議会の議席の一部を確保できたれいわ新選組、国民民主党以上に地方議会で議席を獲得した参政党といったおのおのの事情はありますが、政治全体で見た場合にいずれも支持率の点から泡沫から一歩二歩抜け出ることはできても、本格的な政治集団へ飛躍できる可能性はまだはっきりしません。

 ネット中心に若い世代が政治不信とワンイシューで支持拡大してきたものの、党運営のマズさや相互の仲間割れ、ドタバタ感などが相次いで、話題になると得票の拡大に資するというフェーズを過ぎて、一定以上の支持獲得には至っていないように見受けられます。

 この状況で岸田政権はサミット後の早期解散に踏み切るのかが焦点となってきてはいますが、与太話として消化された3月解散説もあったにせよ、割と慎重に秋ぐらいまで様子見が続き、重要法案の成立と組織固めに時間を費やすのではないかなあと思ってはおります。いまの岸田さんの支持率がどこまで続くのかも含めて、ウォッチしていきたいですね。