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 選挙後の出口調査でも、選挙のたびに維新支持者が増える傾向があるのですが、今回は各種調査でも維新は政党支持率で概ね8%前後の支持を集めているところを見ると、勢いの面で野党第一党を目指すことのできる一歩手前まで伸びてきているなあと感じます。この流れを支えてきたのは、大阪市長であった松井一郎さんであることは論を俟たないのですが、今回の選挙で政界をすっぱり引退されるということで、この辺はどうなのかなと思うわけですね。

退庁セレモニーで手を振る松井一郎大阪市長 ©時事通信社

 というのも、維新躍進の流れで言えば、関西学院大教授の善教将大さんが説明する通り、計量的には去年から今回の選挙にかけて、熱量高く維新を支持する絶対層というよりも、本来であればいままで立憲民主党や日本共産党に票を入れていた「自民党ではない何か」を求める有権者が、その選択肢として新たに維新を加えた形に見えます。

 有権者の投票行動を数字の面から見れば、立憲・共産を主体とした野党共闘路線が得るはずだった「自民党批判票」や「現状批判票」のような社会に対する不満は、立憲・共産方面だけでなく維新にも流れるようになった、それも勤労世帯が維新を消極的に支持するようになったというのは大きいわけですよ。

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「維新は薄氷の上を歩き続けている」 善教将大・関西学院大教授:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASPDY7TD3PCLPTIL01Q.html

生活防衛を考えている勤労世帯からの支持

 今回も、傾向として全体の得票では特に「自民党を支持しない」とか「争点として子育てや社会保障政策で現状に不安・不満を感じる」などの層が地方選挙に於いて維新候補に票を入れていたのは特筆するべきところです。明らかに立憲民主党や日本共産党に仕方なく投票していた層が、今回は3割強ほど維新に鞍替えしていたことを意味しますので、この野党得票構造の地殻変動は相当に大変なことだとも思うわけですよ。

 あくまで参考値でしかありませんが、過去3回国政選挙で投票に行った人の流れを追跡してみると、傾向としていろんなことが分かります。この維新が乗っかっている風というものはコホートで見る限り「自由民主党には投票したくない、生活防衛を考えている勤労世帯」からの支持が選挙を経るごとに強くなっているように見て取れます。これらの有権者の民意とは、主に社会保障政策への不満(年金や医療・介護に関心が高く、出産・育児や教育に関わりの多い層)にあって、要は高齢者に多くの財政的リソースが行っちゃう現状の自民党政治への不支持とも言えます。

 他方で、立憲民主党への票の流れを見ていると、地元への密着や浸透という点ではいままで通りかそれ以上に活躍し評価をされている地方議員候補に票が集まるものの、これらの批判票がどこの選挙区・地方選挙でも3割近く維新に流れていってしまったため、実績のある立憲系議員でも前回に比べて大きく票を落として苦戦していたり、落選してしまったりという傾向が強く出ています。

 特に、地方選挙においてれいわ新選組の一部議席確保も注目されましたが、票数で見ればこれらの左派系支持の有権者の絶対数が少しずつ、しかし確実に減少していることが分かります。おそらくこれは基礎的な得票数の傾向をはっきり示すものと言えます。